豆大福は、和菓子の王様ではないでしょうか。

大福餅は、餡を餅で包んだもので、中のあんこは「こしあん」か「つぶあん」が基本だと思います。あんこと一緒に、苺が入っていたり、あんこの代わりにカスタードクリームが入っていたりもしますね。

餅のコロモがまずまずの厚さで歯ごたえがあるものと、薄めのものがあります。このコロモの餅にヨモギが入ってて薄緑色のものは「草大福」だったような気がします。(名前を見ないで買ってる。)餅に黒い大豆が入っているものを「豆大福」と呼ぶようです。

たいていの場合、外側の餅の量よりも中のアンコの量が多いです。

ここで、口王国に侵入してきた豆大福軍(コロモ軍団とアンコ軍団)とこれを迎え撃つわが軍の歯軍団と唾液軍団の戦いぶりをお伝えします。

 

口の中に入れるとはじめはコロモ軍団の餅が歯に応えてきます。油断してはなりません。柔らかいふりをしながら、黒豆ゲリラが潜んでいます。

次の瞬間たくさんのアンコ軍が甘みを展開します。

「この甘さは、まちがいなくアンコだ !」

歯の上下左右、舌の脇にもアンコは容赦なく広がろうとします。歯軍は硬くて強そうですが、意外にもろく、アンコの攻撃になす術を知りません。

 

味方唾液軍団の迎撃はまずアンコに密着します。捨て身の渾然一体攻撃です。

アンコは唾液と混ざって甘みをふりまき、さらなる唾液軍の出撃ををうながしながら、のどゲートに近づいていきます。

「まずい、このままではのどゲートがつまってしまう。」

事態を重く見た唾液軍指揮官は、舌司令部に支援を要請します。

「アンコを飲み込まないでくれ」

 

口の中は、アンコと唾液に加えてコロモの餅がかまれて大混戦状態です。ここで重要なのは、一瞬なりとも口を開けてはならないということと、わずかでも飲み込んではならないということです。

アンコと唾液と餅に、歯軍団による咀嚼(そしゃく)の集中放火をあびせるのです。

特に餅はしぶといですので、攻撃を休んではいけません。遠慮なくかみつづけるのです。

50回ほどかむと、餅もやわらかくなり、わが軍の勝利が近づいてきたのが実感できるでしょう。

このころになると、ゲリラとなって歯とほっぺたの間の内側に潜んでいた黒豆が姿を現すことが多いです。

各個撃破していくことになるはずです。

重要なのは、アンコとコロモが口の中にどれだけしぶとく居すわるか、だと思います。

早々に姿を消してしまう薄めの餅軍団は「歯ごたえ」がなく、はじめは強烈な甘みをふりまいておきながら、いつのまにやら餅を残してさっさといなくなるカスタード軍団は、「物足りない」感じです。(言うほどたべてませんが・・・)