ある日のメール | Don Takeのブログ

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かなり前のこと,僕の携帯電話に「仲良くなりたい」という趣旨の女性らしき人からのメールが来たことがある。


明らかに個人のメールアドレスから送られているものであったが,そのアドレスは僕の携帯電話に登録されているものではない。



無論,今の僕なら,無視する。


しかし,そのころの僕は,まだメールに対してピュアだったし,現在ほど巧みな迷惑メールが送られてくる時代ではなかったのだ。



僕は非常に迷った。


メールアドレスから判断して個人が送ってきているとは考えられるものの,それが本当に僕に思いを寄せる女性であるとは限らない。


僕のメールアドレスを知っている悪友が,いたずらをしている可能性もある。


ネット上ではともかくも,実生活での僕は,バラエティ担当のキャラクターではないのだ。


仮に悪友のいたずらであった場合,誘いにのって返信などしたら,しばらくは笑いものになってしまう。


しかしながら,万一,本当に僕に好意を持っている女性からのメールであったなら,千載一遇のチャンスを逃してしまうことになってしまう。



さて,みなさんなら,どうするであろうか。


何度も言うように業者からの迷惑メールではないというのが前提としてあるとした場合の話だ。


真に好意を寄せてくれている異性からのメールである可能性と,悪友からのいたずらである可能性のみ考えて欲しい。



僕が出した解答は自分でも感心するほど,巧妙なものだった。




僕は,


Who are you?


と英語で返信したのである。




この場合,まず確認しなければならないのは相手が誰であるかということだ。


悪友であることを想定して返信した場合,相手が女性であったなら,冷たいリアクションだと感じさせることになる。


だからと言って,女性であることを想定して,ちょっと柔らかな返信をした場合,相手が悪友だったなら,まんまと爆笑されてしまう。



その点,英語には表情がないのだ。


「you」を日本語にすると「あなた」,「お前」,「てめぇ」,「きさま」のどれにでもなる。


英語圏の人々が,大きなジェスチャーを交えて会話をするのは,言葉そのものに表情がないため,感情を表すにはもどかしさを感じるからではないかと僕は思う。



僕が返信したWho are you?」「だれかなぁドキドキと訳すか「てめぇ!誰だよ!」と訳すかは,相手の判断に任されることになるのだ。


つまり,メールを送った相手が僕の悪友ならば,多少の後ろめたさもあるためWho are you?」「てめぇ!誰だよ!」と訳すだろうから,笑われ者にはならずに済む。


一方,女性が送ってきたのであれば,よい返信を期待して送っているのだろうから,「だれかなぁドキドキと訳す余地も残されているのである。



さて,間もなく,僕の返信への返信が着た。


相手もさるものである。


今度は僕にドイツ語で返信してきたのである。


だが,これで少なくとも悪友からのメールでないことは明らかになった。


僕の悪友の中にドイツ語の出来る者はいないからだ。



ここに至って,僕は「あなたは誰ですか」と返信してみた。



すると…


「宮崎在住のおじさんです。よかったらメル友になりませんか。」


と送られてきた。



僕は


「こちらも男です。残念でしたね。僕も残念です(笑)。」


と返信した。



宮崎のおじさんは,


「返信してくれて,ありがとう。お互いによい出会いがあるといいですね。」


と返してくれた。



メール創成期のちょっと粋なやりとりだと思う。