鳥取の山根酒造場様が醸す「日置桜」は

いろいろな試みで清酒を醸されている


例えば


同じ「山田錦」だから

同じ「強力米」だから

と言っても農家の技術によって酒米の質に相違ができるのは当然である


その質を決めるひとつの要素に「タンパク含有量」がある


山根酒造場様は契約農家の米の「タンパク含有量」を

7.5%以下と決めている

もし8.3%以上なら翌年以降の契約を解除するというのだ

タンパク含有量が多すぎると

するりと滑るようなさばけの良いお酒にならず

味の多い、重いお酒となってしまうからだ


酒米の「タンパク含有量」は
 
化学肥料に起因する窒素分の多い土壌でつくられた米に多くなる

必然的に無農薬自然農法で作らなければならなくなる


そこで

農家の内田さんや杉山さんや前田さん(杜氏)らが作ったそれぞれの酒米のみで

1本のタンクのお酒を醸すことで

農家の方々に酒米の質によって

出来上がるお酒にこれだけの味わいの差ができる

ということを知ってもらうというのだ

と同時に

農家の仲間のなかで切磋琢磨して技術に磨きをかけてもらう


米作りも酒造りも真剣勝負なのだ

だからこんな厳しい契約関係が成立しているのだ


こんなコンセプトのなかで醸されたのが


日置桜 鍛造にごり 山田錦純米 24BY


「鍛造」という冠は

農家の内田さん(内田百種園様)が自然農法でつくった米だけで醸した純米酒に

つけられる商標なのだ

この内田さんがつくったお米のタンパク含有量は6%代という

とんでもない数字を叩き出す(業界では驚愕の数字なのだ)

これだけタンパク含有量が少なければ

たくさん精白しなくても雑味などでてこない

だから精米歩合は80%という低精白だ

にもかかわらず

すべらかで上品な味わいはすばらしい


又、この「にごり酒」は

燗酒専用として設計して醸されている


「にごり酒は、甘くて冷やして呑むものだ

だから、しつこくて嫌いだ」

などという人が特に、はまるのではないか


このにごり酒のスペックだが・・・

原料米:山田錦(鳥取・内田百種園産)
精米歩合:80%
日本酒度:+9.5
酸度・2.4
アミノ酸度:1.4
酵母:協会7号


お酒の甘辛を示す日本酒度は辛口である+(プラス)方向へ

大きく傾いた+9.5を示していることからも

かなり辛口であることが分かると思う


こんなに辛口であるからこそ、燗酒にできるのだ

真にこのお酒がポテンシャルを発揮するのは

米の旨味が最大限にあらわれてくる

40~60度の温度帯なのだ

燗酒にすると

まさに滋味の世界へ誘ってくれる


タンパク含有量が少ないからこそできる
 
80%の精米歩合の
 
きれいな、キレのある「にごり酒」
 
 
この業界の常識を覆した要因は
 
「粗蛋白含有量」の少なさだったのだ