社交ダンスのパーティーは苦手ですが、試合は何度か見に行きました。指定席でなければ好きな場所で観戦できるので、空いている場所を見つけて誰に気兼ねすることなくゆっくり見られるところがいいですね。
プロのレベルの高い踊りを見せていただくのもいいですが、私はそれよりもアマチュアのいろんな年齢・レベルの方が参加される「ごちゃごちゃした(?)」クラスの試合が好きです。
若くエネルギッシュなカップルがビュンビュン踊っている隣で、おそらくは定年後くらいに夫婦で始められたのかな、と思われるカップルが踊っているのを見た時は、最初は驚きましたが…。
どんな年齢でも関係なく、楽しくやれる。身体能力に差があろうが、バックグランドが異なろうが、同じ土俵に立って試合ができるのが社交ダンスの素晴らしさだ、と思うようになりました。年齢・立場に関係なく、自分ができることに全力で「挑戦」する人たちはいつも素晴らしいですね。
試合で踊っている間だけではなくて、踊る前後のカップルを見て勝手に「人間観察」するのも興味深いです。
踊り終わった後に相手の手を払いのけて明らかに不機嫌になる人。申し訳なさそうに相手に謝る人。その一方で、ずっと手をつないでいるカップル。満足げに嬉しそうに見つめあうカップル。踊り終わった後は本当に悲喜こもごも。
踊り終わって退場した後にどんな行動をとるかを見ていると面白いですよね。皆さん踊っている間は気が張り詰めていても、踊り終わった後は一気に緊張が緩んで、所作や態度にその人の「地」が滲み出てくるように思います。
また、試合前の練習やアップの風景も面白いですよね。カップルでバラバランに踊る人もいれば、個々で真剣に踊りながら、時折カップルで入念に打ち合わせらしきことをしている人たちもいます。そこに笑顔があったり、真剣な顔があったり。
このカップルは上手くいっているのかな...?日頃はどんな感じなんだろう…?といろいろ勝手に考えて妄想を巡らせるのも楽しみ?です。練習でこんな感じだけど、本番ではどうなんだろう、とそのカップルを追いかけてみたりします。
踊っている間だけではなくて、その前後の所作や態度も意外と目につくものです。どこかで試合のジャッジそのものにも、少なからず影響しているのではないでしょうか。
そういえばある先生が言っているのを聞いたことがあります。
「試合会場に一歩入った時から勝負は始まっている。どこで誰が見ているかわからない。所作には気を付けるし、絶対にだらしない仕草はしない。たとえ怪我をしていたり体調が悪くても、弱みを見せたり疲れを見せたりしない」
さもありなん。
私が試合会場の駐車場に到着して車から降りるころには、早くも試合が終わって早々に引き上げるカップルに遭遇したりします。多くは、私よりかなり年上の方々のことも多いのですが、あまり颯爽と歩いているカップルは少ないように思います。
大きな荷物をゴロゴロと転がしながら、なんだか寂しそうにトボトボと歩いているように見えたりします。
このカップルは、どんな経緯で社交ダンスを始めたのだろう…?ダンスをやっていなければ、こんな天気の良い日曜日に何をして過ごしていたんだろう...?まだ午前中だけど、これから帰宅してどんな会話があるのかな?それとも、ゆっくり反省会を兼ねて昼食なのだろうか...?
試合に勝った、負けた、ではなくて、あの年齢で立派に試合に出場していることが素晴らしいし、あの年齢で(おそらくは)夫婦で共通の趣味を持つことは素敵だな...
なんて妄想のタネは尽きません。
頭の中で、そのカップル毎に一つのストーリー、人生のドラマが勝手に出来上がってしまいます。
社交ダンスの試合って、本当に面白いですね。