「あの~。。。今までの説明、大丈夫ですか?」

 

髪の長い素敵な先生が、心配そうに私の顔を覗き込みました。そこで私は現実に引き戻されました。そうでした。これからのダンスレッスンについて、個人レッスンの進め方、チケットの買い方、清算のやり方、などなど、一通り説明されたのでした。

 

「はぁ、はいぃ。。。」

「では、早速踊ってみましょう」

「へ?」

「今日は体験レッスンにいらしたんですよね?」

「はぁ、はい。。。」

 

自分でも間抜けな会話だなぁと思いつつ、なんだか現実味がないフワフワした自分がおかしくもあり、不思議でもあり。大音量の中で絡み合った男女がくるくる回っている隣で、ダンス経験の無い初心者のおじさんが、いかにもダンサーって感じの若い女性に手を引かれて、「あんよは上手~」をされている光景は、とってもシュールだなーと思いつつ、見たこともない大きさのピカピカの鏡の前のフロアにのろのろと向かっていきました。

 

後にだんだんわかってくるんですが、社交ダンスではいろんな場面であまり客観的に?なりすぎない?ひいてしまわない?ほうがいい場合も多々あるような気がします。その場面、その場面で、目の前の音楽を楽しみ、身をまかせ、非日常感を楽しむことがダンスを楽しむコツかもしれません。また、こういう「あんよは上手~」的な基本的な練習を、恥ずかしいと思わない、むしろ堂々とやることも、上達するにあたって大事な素養のような気がします。

 

しかし、その時はそんな余裕などあるはずもなく。