睦月八日(新月)を過ぎて、新しい手帳を開きました。

4月から、電力自由化。

あばよ東電!と寅さん風に捨て台詞が出かかっているんだけど、いざ具体案が浮かばないし、しばらくは情報収集になりそう。

先日は、そんなもやもやを晴らすのにぴったりの『エコアイデア』イベントがありました。

会場は東京都目黒区にある平塚幼稚園。こちらの園舎は、取り壊される予定だった奥会津の旧本名小学校の木造校舎を移築、再生したものです。

https://sumika.me/works/58144eed04af4e45bcc057c25abc249511497e14

{E1B8CA2E-0FC6-4760-9399-02A64E5F534F:01}

{DDCE5976-2DFD-4DD0-986A-EF83077A0EE7:01}

空間を突き抜ける梁のラインを目で追いながら、「木のくせを生かす」という西岡棟梁のお話を思い出します。

(『木に学べ―法隆寺・薬師寺の美』西岡 常一 (著))

{5E6F423C-54FD-41B0-9792-1DD1FCBA82C1:01}

イベントは一次審査に通った11作品のプレゼンが中心で、優劣を競うものではないという主旨のとおりだけど、実践されているものには説得力がありました。

仕掛け人は建築女子ユニット「つなが~るズ」。

↓エコアイデアコンテスト『チエコ』
http://tsunagirls.net/?p=271 


審査委員には非電化工房の藤村さんも。

お人柄が立ち居振る舞いに表れて、穏やかな気持ちになります。

http://www.hidenka.net/indexj.htm


作品には「宅急便の走行距離のうち25%は再配達のために費やされている」という無駄に注目した、地域活性にもつながるアイデアもありました。

ほかに冷蔵庫の無駄、食に関する作品も多かったみたい。

食料廃棄のない社会にむけて、つい海外の取り組みばかりが目についてしまう。日本では小学校の給食とか、教育的に良いなと思うことも多いけど。

「東京都23区の家庭から1日に捨てられる食べ物の量は、アジアの50万人以上の人が1日に食べる食料に相当する」という。

無印良品コラム「食品ロスについて」

http://www.muji.net/lab/food/140416.html


サンフランシスコのメンフィス・ミーツ社の「培養肉」のこと。
普段肉を食べないから思うのかもしれないけど、、、個人的には良いと思う。アマゾンの森を切り開いてまで、牛を育てるなんて考えられない。

・研究室で培養した肉の細胞でミートボールをつくることに成功

・牛の細胞に砂糖やミネラルといった栄養を与えて培養したもの(9~21日間)

・動物を殺さず、温室効果ガス90%の削減になる

・(畜産のような)化学物質・抗生物質の投与も必要ない

国連によると世界全体で生産される穀物3分の1は家畜の餌であり、4分の1が放牧用。

肉を得るために直接肉をつくるという発想ですね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160202-00010315-wsj-bus_all


さて、会場投票でも人気だった大賞作品には「ドラム缶回転式コンポストトイレ」が選ばれました。

都心を離れて自然の循環に暮らすご家族の、日常的な創意工夫が面白い。エネルギーを生み出す一歩は、楽しむ気持ちからなのかも。


藤村さんから「アップサイクル」を流行らせよう、というワクワクするお話もありました。3.11から5年経ち、非電化工房への取材も5分の1ほどに減ったそう。

価値観や生き方が大きく変わった人も多い一方で、相変わらずメディアの影響が都市生活の消費を左右しています。

建築関係者の集まりは視点がいい。自分の頭で考える力や大らかな感性など感じられて良かったな。

寅さんも甥っ子に「何かあったとき、自分の頭で考えるために勉強するんだ」って言ってたと思う。笑

ジビエ料理(野生の鳥獣料理)を紹介する記事の編集で素材画像と向きあう。背を丸くし、全身干からびたように縮まっている穴熊は、福岡県の野生化したみかん畑にいたそうだ。

その場で血抜きされ、東京の料理店へ即納された。 熊といっても小さくて、昔ばなしに聞くたぬき汁、ムジナ料理とは穴熊のこと。食文化ではあるのだけど、違和感がどうしても拭えない。

都会で肉を食べることが不自然に思えてくる。
たぶん私はジビエの薀蓄の前に、人と生きものの濃い命の関係について知りたいと思っている。

ひと昔前のくらしでは、野鳥も貴重なたんぱく源として食べていた。 自然の脅威に畏れながら、その循環の中で生き抜く知恵を伝承し風土を守る。
支え合っている小さなものたちに関心を向けること、目に見えない間を意識することが五感を豊かにした。 
そんな衣食住の話が好きなのだ。

ジビエを考え始めたら、生物多様性や気候変動のこと、風土、伝統、食文化、文学、ドラマ北の国からとか(笑)思考が広がってとまらない。 
人間が本当に求めているのは、生きる意味ではなく「いま生きているという経験」だという、神話を解き明かしたキャンベルさんの言葉を思い出す。


先日、中国ではクローン牛を年間100万頭製造する計画を発表した。 
http://matome.naver.jp/odai/2144917487031521001 
(政府が支援するビジネス地区で38億円規模の動物のクローン施設を建設。毎年10万頭の胎児を作り、国産牛の5%をクローン肉にする計画。2020年までに年間100万頭を目指す。)

既に多くの国で利用されている技術だけど、EUではクローン動物を禁止している。 クローンは特に食品表示の義務がないので、知らずして手に取る可能性もあるだろう。
日本は遺伝子組み換え作物の世界最大輸入国だけど、一般的に知られていないくらいだからなぁ。

それにしても「製造」っていう言葉が乱暴というか、もう命としてみていない気分の悪さがある。私が無知で、生きるための殺生の経験が足りないからか。

豊かな未来の食生活って何だろうと、食の原点へ思考を巡らす。

NYではクオリティー(高級)バーガーは流行からスタイルに定着し、オーガニックも身近に選べる。バイソン、イノシシ、トナカイ肉のハンバーガーなど牛以外の肉もある。

時代の変化を受け入れないわけじゃないけど、大切なことを忘れてはいけないと感じてしまう。

成田・関西・福岡と、国際線のある空港でみかける四角い透明な貯金箱。私も海外での旅が終わり、余韻に浸りながら気持ちを整えて残ったコインを入れたことがあります。

先週末のグローバルフェスタで、その仕分けをお手伝い。換金するほどでもないとはいえ積もれば山で、ドルやユーロなどの王道通貨以外の多様さに魅入ってしまいました。

{72C59649-1114-49FE-844A-FEB4CEC2FD66:01}

国の顔つきがコインに表れるというか、歴史の風情があるというか。世界を行きかう旅行者のおきみやげという感じです。

あらためてエリザベス女王が君臨する国の多さに驚いたり、風土を代表する希少な動植物、神話や発明者など国が大切にしたいことが伝わったり。文字が読めない人のために指の象形文字が刻まれたもの、視力の弱い人が指先ですぐ分かるように波打った形もあります。

{B6F48B88-1D3C-4F38-BB3D-499CA1E7CE62:01}

{2E011405-4317-42B7-BC79-400065D98E3B:01}


沈みゆく南国の島、ツバルのコインはウミガメがモチーフ。もし島が無くなったら、文明の証みたいになるのだろうか。

この活動をしているのはNPO法人 日本ハビタット協会。災害や紛争、都市化などで貧困になった地域の住居・学校支援・トイレの設置などをしています。「ハビタット」とは、ラテン語で「居住」。国際連合人間居住計画(国連ハビタット)と連携しているのだとか。

発見を楽しみながら私がもたついているうちに、パパッと仕分ける小学生が登場。コインの絵をみながら、英語を読みながらの早技、すごいなぁと感心していたら、毎年楽しみに来ている常連らしい。

なるほど、子供たちがコインに興味をもって世界に触れていくのは健全な気がする。学校の課題としても、ボランティア活動や支援の実感って難しいかもしれないから、入り口が楽しい方が良いよね。生物多様性をコインからみる、という切り口も良さそう。
学校の授業におすすめです。


父の脳リンパ腫、抗がん剤治療2クール目が終了。今日はMRI検査で経過を確認しました。

「治療後に一旦驚くぐらい良くなる可能性がある」と調べた通りの結果でした。
大きな腫瘤は10分の1程度に小さくなり、がん細胞も消滅傾向です。

母と電話で喜びましたが、必ず再発することを忘れてはいけません。
ただ化学療法の効き目がなく数ヶ月で亡くなる、というケースではないことが分かってホッとしました。

入院して2ヶ月間、毎日欠かさず面会時間ぴったりに通う母も努力が報われたような気持ちです。月末から1週間、一時退院決定です。

先日より人参ジュースを毎日飲み始めました。
素材は3つ、有機にんじん、リンゴ、有機レモン汁。想像以上に美味しいらしく、もっと早くに始めれば良かったとのこと。

化学療法は免疫力を高めるものではないので(むしろ逆)、これからは食べ物と温熱療法です。 食事改善で「代謝と免疫能を高める」こと。母と私の試行錯誤が続きます。
父は昔から腸内環境が最悪なので、偏食や好き嫌いも徹底的に指導します。

近年、増加しているとはいえ10万人に0.38人。あまりない病なだけに、同じ状況にいる方の情報の足しになれば嬉しいです。

余談ですが、病院内で盗難事件。
夜中から明け方にかけ、父の腕から鍵をはずし、引き出しの貴重品ボックスからお財布の中身を抜きとるというスリリングな犯行です。父のうっすらした記憶で、入院患者の女性が犯人ではないかと憶測されます。しかも2回目とのこと。(被害は合計2万円弱くらいかな)
お金は邪な心を引き寄せますね~。

必要ないお金を置いておく方が悪いと両親共々反省しています。
職場の事件だなんて看護師さんたちもショックでしょう。

入院費が足りないなどの事情があったのか、単に心の闇に引きずられてしまったのか。
お金は道具、本当に大切なものは買えないと病から教わります。
お金という幻想も根深いテーマです。

シルバーウィーク、父の抗がん剤治療2クール目(後半)です。
副作用の口内炎がつらいものの、吐き気や頭痛はない様子。
ただ、精神的な落ち込みや苛立ちが感じられます。薬の影響もあるけど、気弱で神経質な性格のせいかも。

「点滴が少しも進まない。時間が経たない、日にちを勘違いして一日損した。10万人に0.38人の病気なんて運が悪い…」15分ごとにため息ばかり。

落ち込みが酷いと、寂しい、心細いと母に電話してきます(病室からは携帯禁止なのに)。記憶が混乱することも。

自分の作り出す不安に煽られて「今」を生きることができないみたい。
時間を資産だと思って過ごせたらいいのだけど。


ー 過去、現在、未来の区別は、どんなに言いはっても単なる幻想である。
ー 
Albert Einstein(アインシュタイン)

The distinction between the past,present and future is only a stubbornly persistent illusion.


生死を考えるとき、思想が異次元に広がる感じがします。
私も日常の概念や情報などに囚われてしまいがちなので、「今」を感じるために深呼吸です。

より良く生きるとは、家族とは、人間とは…いろんな学びが病にはありますね。

抗がん剤治療は下記のステップを2週間かけておこないます。
こちらを1クールとして5~7回を半年続けます。
----------------------
【抗がん剤治療2クール目の内容】

1.RIT(リツキサン)5時間くらい。
アレルギー予防のポララミン、プレドニン、生食の点滴を1時間くらい。

2.MTX(メトトレキセート)、VCR(ビンクリスチン)3時間くらい。
前日ダイアモックス錠を朝夕1錠ずつ服用。グラニセトロン、生食の点滴を30分くらい。

3.輸液(MTXを流す)
ロイコボリン、生理食塩液

4.髄注
腰から抗ガン剤を投与、脳の表面に直接浸透させる。
----------------------

父の希望もあり、月末の検査結果しだいで一時退院が見込まれています。
数日ほどの帰宅でも、父は待ち望んでいます。

母が父のひげをそってあげたり、寄り添って支えたり、甲斐甲斐しく世話を焼く姿から「触れる喜び」をみているような気がします。
肉体がなくなってしまう寂しさを想像すると切ないです。

私は父の亡き後、母の支えになるものは何かという視点がどうしても働いてしまい、こっそり写真を撮っています。

この季節、いつもなら稲刈りイベントなどで各地を旅しているはず。
これまで「食の豊かさ」をテーマに産地を訪ねて旅をしたので、私が出会った素材を少しずつくらしに取り入れる提案をしています。


まずは基本の調味料。ちゃんと微生物が時間をかけて発酵したものに変えてもらいました。

■白砂糖 → 有機黒糖
■みりん → 三河みりん
(甘みは極力控えること)
■しょうゆ → 小豆島産ほか(杉樽で熟成したもの)
■酒 → 寺田本家(無農薬米、無添加の自然酒)
■味噌 → 有機無添加の味噌(福井のマルカワみそさんはお勧め)

友人が一押しする自然医学療法、森下敬一先生の本も読み始めました。
■森下自然医学療法とは
http://inedia.jp/morishita.html

母がすぐに読み通した読みやすい1冊。
「人生が変わる食べ方  腸をイキイキさせると体も生き方も楽になる」
それと専門的な「自然医学の基礎」も友人が貸してくれました。

この連休を利用して、酵素玄米ごはんもつくりました。
3日目から食べ始めましたが、お赤飯みたいで美味しい。
2週間くらい熟成させるともちもちだとか。

おはぎとお団子にも挑戦です。
母はさすが、もと和菓子屋さんといった手さばき。
(父は和菓子職人で、夫婦で和菓子をつくっていました)

ガンに効くと言われるものは何でもやりたいと、祝島のびわ茶をいれました。(生産者のみなさん、ありがとうございます。祝島の自然にも感謝です。)

母の気が張っているので、コーヒー豆を挽いて香りを楽しむところからはじめました。心の落ち着きも大切。
できるだけ希望の持てる情報を伝えたいと思っています。

「人の細胞は120日で入れ替わる」(ハミングバードのメルマガより)
・胃や腸の内壁 5日周期
・心臓の筋肉 22日周期
・皮膚細胞 28日周期
・肝臓 60日周期
・赤血球 120日周期

諸説あるようですが変化することには違いないと思います。
野草・薬草なども詳しくなりたい。

右脳と左脳と虫の声(無印良品くらしの研究所コラム)
http://www.muji.net/lab/living/150909.html

虫や動物の鳴き声は 「言葉」か「音」か。
母国語で身についた音の感覚が、その判定に影響しているなんて面白い。 たまたま日本に生まれたけど、虫の声が聴こえる文化で良かった。あの波動は気持ちがいい。


言葉を知ると感情が生まれる。
そんな瞬間を注意深く観察することがあります。
息をしている言葉は、自由で、心に残るのです。

 「子ども時代をしっかりと楽しんでください」
児童文学の石井桃子さんは子供たちに語りかけています

― おとなになってから 老人になってから
あなたを支えてくれるのは  子ども時代の「あなた」です ―

子ども時代のセンス・オブ・ワンダーが、大人になったある日、ふいに言葉と出会ってぴったり一体化してしまう。例えば、私の場合「森羅万象」などそうでした。

のみ込まれそうな大自然のゆらぎ、刻々と移りゆく生命のめぐり、余韻。
表現しようもなかった感動が、漢字四文字に吸い込まれたという不思議な瞬間でした。

日本は雨や風などの繊細な表情にも名前がつけられて、言葉にくみ取るのがうまいだけでなく、読んだあとに蘇る体感もいきいきしてくる。

松岡正剛さんと佐治晴夫さんの対談本にあったのだけど、京都の染物屋の話で「何々の風があるから今日は色物の乾きがいい」と、風を読んで干したとか。

子どもの頃は、風の匂いで季節を嗅ぎ分けていた気がするのだけど。

言葉の発見に子ども時代が根付いている、というところで思い出すのが
北原白秋の「青いトンボ」。詩魂が衝撃的でした。

青いトンボの美しさを「きりきりと夏の雪駄(せった)で踏みつぶす」と締めくくる。そうしたいくらい美しいという美意識の表現を、幼年期の記憶がひきだすのです。

日本の漫画やアニメの独特さも言語(母音)の影響かもしれない。

手塚治虫さんが発明した漫画の背景、「シ~ン」というオノマトペ。どうしたら「シ~ン」が思いつくのか。そして次の瞬間に読者も使いこなしてしまう。

バイクが走るシーンなどで「ギャオン」とか「ギュルルルル」とか描いてあると、とたんにその通りの音に聞こえてしまう。

擬音後の自由さも、日本語の得意技。
空間のとらえ方、余白に潜む自由につながっている気がします。

父、抗がん剤治療8日目。
副作用の口内炎が辛そうなものの、一時期より穏やかになった印象です。
明日は髄注(ずいちゅう)治療といって、腰から脊髄に直接抗がん剤を注射します。脳の表面に薬を浸透させるのです。
痛くなりませんように…
同じ治療をされている方々の痛みも和らぎますように。

昨夜は血液内科の担当医とお話することができました。

母は治療経過について、知りたいけど怖さが勝って消極的。
余命の予測のお話しで、足もとが崩れ落ちたんだと思います。
心配そうに沈んだ声なので、私ひとりで先生に会うことにしました。

父の生気がなくなって、心配そうに寄り添う母をみるのは切ないです。
そして「頑張ってね」と父にいうと、必ず「頑張るよ」と返してくれるのも心苦しい。

心苦しいついでに、私が結果を聞いて立ちまわろう。
西洋医学と東洋医学、両方正面から向かい合ってみよう。

医師との会話はiPhoneで録音して母と弟に共有です。
もし厳しいことを言われたら、言葉を選んで私から母に話します。


母が結婚後に初めて父に買ってもらったという、オパールとダイアモンドの指輪をはめて験(ゲン)担ぎ。


想いが詰まっていて、不思議と勇気をもらいます。

オパールの意味を調べるとなかなか心強い。

「オパールは人生の暗闇に希望をもたらすような明るさに満ちた石であり、憂鬱を払い、何事にも囚われない柔軟さや人に左右されない自分自身の核を作ることを助けてくれる石でもあります。」

石言葉は希望、無邪気、潔白。
10月の誕生石、素敵ですね。

石好きの宮沢賢治の作品にも表現されています。

「楢ノ木大学士の野宿」 蛋白石として。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4438_9670.html

「貝の火(かいのひ)」 貝の火として。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1942_42611.html

賢治は「オーパル」や「蛋白石」という表現を好んだようです。


そんなわけで担当医とお話ししたところ、今のところは骨髄への転移はみられなかったようでした。
好きな飲み物も飲んでいいと許可いただけて良かった。
母もホッとするでしょう。

指輪と日記帳と万年筆が、毎日の気持ちを整えてくれます。

日記帳(ミドリ MDノート<文庫> 方眼罫)はいつしか病気の記録に。
万年筆(#3776 センチュリー・シャルトル・ブルー)は、ペンドクターの調整が絶妙で好みの筆跡に。インクは「月光」色。

木陰のような安心感のある紙にペンを自由に走らせます。
免疫力を高める食など、学びたいことがたくさんあるのです。

2015年9月4日。父、抗がん剤治療4日目。

脳原発性の悪性リンパ腫は発生率の低い血液のがん(10万人に0.38人)。
頭のなかで発生したものは特に性格が悪いとされています。

進行速度がはやく、症状が出始めるとみるみるうちに悪化して、もし治療をしなかった場合には1,2ヶ月ほどで息をひきとるとのこと。

「よく効くがんのお薬がある」という言葉に、はじめは治ると信じた母。
次第に肩を落としていく家族の行く末を見通してしまう医師も辛いでしょう。患者を看取るのも仕事なんですね。

稀な病気に医師たちも病院の垣根をこえて情報共有しているそう。
確かではないネット情報に一喜一憂したくはないけど、同じように悩む方のために基本情報を。
参考までに。

【参考】脳リンパ腫についての基本情報
がん情報サービス

脳外科医のページ

全国患者団体 グループ・ネクサス・ジャパン
(悪性リンパ腫の患者さんやご家族に、医療情報や交流の場を提供する団体)

英語ではPCNSL (primary central nervous system lymphoma)です。

8割の方が『びまん性大細胞B細胞リンパ腫』とのこと。
現状に至るまでを、記録としてざっとまとめます。

【1】 2015年7月末に入院、

脳の断面画像をみると大きな白いかたまり「腫瘤(しゅりゅう)」が右脳下にあり、さらに数箇所に散っていました。
そもそも手術で全部を取り除くことは不可能で、短時間で終わらせないと後遺症のリスクも高い。そのため腫瘤の一部をとり、即時に病理組織を診断するという方法をとります。種類を見極めてから、今後の抗がん剤治療をどう進めるかを計画します。


【2】8月11日、病理組織を診断するための手術。

左半分が見えなくなる可能性もあったのですが、均等感覚は崩したものの視力は無事でした。


【3】 8月26日、脳外科から血液内科へ移動。

とても良い執刀医でした。血液内科へ移っても、医師同士で連携をとりながらみていきますと言ってくださって心強かったです。
医師の言葉って大きいです。


【4】 8月29日、今後の治療方法と余命予測のお話がありました。

9月1日から抗がん剤治療が始まりました。
使うのは、リツキサン、メトトレキサート、ビンクリスチンの3種類。
リンパ腫細胞の進行状況も検査で確認。その結果、脳の周りにある液(脳脊髄液)にたくさんのリンパ腫細胞が散っているのが判明しました。髄注(ずいちゅう)治療といって、腰から抗がん剤を投与して脳の表面に直接薬を浸透させる処置をとるそうです。それもできるだけ早く。
骨髄への転移は結果待ちです。

{E61507B4-2874-42B6-A242-DC726D12C7EB:01}

(母に分かりやすく説明するメモ)

*-*-*-*-*-*
1日目:リツキサンを5時間。
2日目:MTX(メトトレキサート)、VCR(ビンクリスチン)を3時間。
その後、MTXを体外に出すために大量の輸液を行います。
48時間、72時間後に血中の濃度を確認し、薬の排出が確認できれば終了。

髄注治療も早い段階で進め、その後は「骨髄抑制」の経過を追います。
骨髄抑制とは、血をつくる骨髄の働きが低下している状態。

酸素を運ぶ「赤血球」、体を細菌などから守る「白血球」、出血を止める「血小板」の力が弱まってしまう。輸血も想定しています。
ちなみにリンパ腫は「白血球」の一種、リンパ球がガンになったものです。
*-*-*-*-*-*

上記を14日間(2週間)で行います(1クール)。
様子をみながら半年間に5~7クール続けます。

いったんは退院を見込んでいて、その後の再発状態をみて放射線を検討します。放射線療法(全脳照射)は脳を萎縮し、認知障害をともないます。

まだ1クールが始まったばかり。かなり壮絶だと思います。

昨日(9月3日)は、予測されていた副作用のひとつ「人格変化」がみられました。
母に怒鳴り散らし、形相も変わっていたと母が悲しそうでした。
弟が夜に様子を見に行ったときには吐き気を我慢して元気がなかったとのこと。

同室の患者さんも重病の方ばかりで、ぱっと見てすぐ分かります。
どうか、みなさん良くなりますように。

人によっては治ってしまうケースもあるそうです。希望を持ちましょう。
笑いがガン細胞を消滅させるという医学的根拠もあるらしい。
気休めでも前向きな記事にふれていたいです。

時間は資産だし、言葉は贈り物。実感します。
じっくり向き合っていきたいと思います。
明日(4日)リニューアルオープンする無印良品 有楽町店「MUJI BOOKS」へ。

(プレオープンの今夜に限って写真撮影OKとのこと。)

{A0D2B0F9-6922-4E20-9087-597A6B0FFE22:01}


売場には松岡正剛さんが選書した書籍が1万冊、テーマゾーン別に配置されているのだけど相当に面白い。

つねに隠されている何かによって、奥へ奥へと誘われていくよう。
森か路地裏に迷い込んだような高揚感です。

{9D4B8B97-71AB-48F8-BBD5-11CFC2DB3BF5:01}

{EF8CE216-1969-462C-B95A-1231F2B462F7:01}

{0BA1AA86-C343-4E20-BE2C-D450E513D82A:01}


千夜千冊 1589夜『書店の棚 本の気配』(ページ下のほう)でも紹介されています。
http://1000ya.isis.ne.jp/

店内に散りばめられた語りかける言葉たちにもチカラがある。
『ずっといい言葉と。』

{CD326C18-1414-452D-9A44-C5893CBA59D1:01}


このところ、言葉は贈り物で、人の支えになることを痛感しているのです。

10万人に0.38人という脳原発の「悪性リンパ腫」。父が入院して1ヶ月、ありえない進行速度で余命が予測されてしまった。

心配するとかの次元が違う。

母とふたりで余命予測を聞いたときのひんやりした指先や、締め付ける動悸は忘れられない。言葉を出すのがやっとの、母の痛烈な悲しみが空気を満たした。私がしっかり支えなければ。

父の性格から予後は伝えないと決めた。
治ると信じている父に、大丈夫だよ、頑張ろう!と励ましながら、ふいに仮面が外れないか心配になる。

一切サトラレてはいけない。
病室を出たとたんに重力がかかるのだけど、
嘘をつくという重さかもしれない。とても切ない。

できることはないのか、思考が高速回転したり、空白になったりする。
調べるにも事例が少なく、英語もできないくせに海外のサイトまで探してみた。

脳内に起こった血液のがん。詳しく調べていくうち青ざめた。
父がヘタにネットを使えるヒトでなくて良かった。
助かる見込みがないのだ。

ネット情報はあまり信用できないと担当医が言っていたが、どんな小さなことでも知りたい。すごい集中力で、抗がん剤の種類や治療法を覚えていった。

本格的な抗がん剤投与が始まり、1日目の夜は、それでも笑いながら話ができた。
病院通いが日課となった母の気力が萎まないよう、父にお母さんと交換日記しなよと提案する。
照れ笑いの
ふたり、嬉しそう。

退院したら食べたいもの、やりたいことがたくさんあるでしょう。メモ代わりになるよ、とけしかけた。

こうして交換日記が始まった。母は少しでも父の心の声を聞きたいのだ。

毎日会うからこそ、意味があるんだと思う。書くことで、気持ちを落ち着かせられたらいいな。

言葉は贈りものだ。
人の支えになる。
そして日記帳は、残された母の宝物になるはずだ。

父と母は和菓子職人の修行場で出会い、夫婦になった。
夢に向かって小さな和菓子店を出した。
そこに私は誕生したのだ。

あらゆる苦労を共に人生を歩んできたふたり、毎日よく一緒にいられるなぁと呆れもしたけど。

創業から四十数年、母が体調を崩したのを機に閉店。物語の段落がひとつ閉じた。今でもお店にたつ夢を見る。

過去や未来を自由に行き来できたら。
家族関係は順風満帆ではなかったけど、辿ってきた軌跡をたずねていけるとしたら。
父はどのポイントに戻ってみたいと思うだろうか。