すんなり出ていただく | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

小さな子にも楽しんで頂こうという趣旨のイベント的な演奏会。


当然ある程度会場はざわつくものですが、だからといって、何でもOKということはありません。


あきらかに演奏や鑑賞している人の妨げになれば、出ていただきます。


ある日そんな演奏会が終演すると、あるお客様が客席担当だった私のところにいらして、「2階席から見ていたのですが、お子様を外に出す時、どんな言い方をされているのですか?」等とご質問をいただきました。


初めは、何もこんな、子どものためのコンサートなのに厳しく出さなくってもいいのでは?というお叱りを受けるのだと思いました。


でも、お話を伺っていると、その方も他のホールで同じ仕事をなさっていて、同じような企画もありますが、「どうやったらあんなにスムーズに出て頂けるのですか?」という、レセプ冥利をくすぐる?ご質問だったわけです。


その答えですが、この手のコンサートは基本的に、普通の演奏会に比べ、出入りが自由に近い形にしていることが一般的なのです。


なので、

①(お子様が)退屈されましたら

②外で気分転換をなさっても

③「本日は」すぐにお入りいただけます。


というような事を言います。

決して他の方に迷惑だという気持ちで言わないことがミソです。そこは、お子様向けコンサートなのだから、わかってますよ、というニュアンスを込めて。だから、にっこりと話しかけられるといいですね。


ゼスチャーで出ていただいた場合は、内扉を一緒に出て、前室で一声かけたいところです。


そして、「またすぐに戻れるんだ」ということで安心していただきます。他に、外でモニターでもご鑑賞いただけますなど、状況に応じてイロイロとバージョンはあります。


ご質問の方も、②の言い回しが新鮮だったようで、今度使ってみようと思われたようでした。


もちろん、子どもに限らず、咳の我慢など、外に促した方がいい場面でも、すぐに入れそうなら、具体的に教えて差し上げると安心して出てくださったり、応用が効きます。


念の為説明を付け加えますと、その日の公演は、主催者さまサイドの方針で、きっとテレビカメラの撮影などもあって、厳しめに外に促したり、注意のお声を掛けたりして下さいということもありました。


結局は、お客様に必要な情報をそれとなく提供して差し上げることに繋がるのですね。