和の装いで演奏会へ行く | コンサートホールのお話など

コンサートホールのお話など

レセプショニストとして働いているコンサートホールでのお話や、クラシック音楽やとりとめのないことなどを綴っています。

これからのシーズン、ニューイヤーコンサートなど、お着物を召されてコンサートに行かれる方がいつもより増える時期かもしれません。


道行き(和のコート)やショールなどを、クロークにお預けになる場合について。お客様のご希望をきちんと尋ねて対応してくれるコンサートホールもあれば、全く気がつきもしない所もあると思いますので、大切なお着物はトラブルを未然に防ぐためにも、ご自身で預かり方を指定されてはいかがかと思います。


何も言わないと、当たり前のようにハンガーに吊るして、他のお客様のコートと一緒にいつも通りに並べられてしまうかもしれません。もし、畳んで横に寝かせてお預かりを希望される場合はそう申し出てください。その場合、高価でデリケートなものですので、楽器のお預かりと同じく、特殊なお預かりとしての対応になります。お客様ご自身の手で納得のいくように畳んでいただくことがあるかもしれませんが、その場合はご協力ください。


また、ハンガーで吊るす場合は、どうしてもスルッと滑って下に落ちやすいですので、「このようにお預かりしますね?」という確認をしてくれないクロークでは、一言「落ちやすいから気をつけてね。」と、逆に念を押してしまってもいいかもしれません。下手をするとクリップで止められて跡形がついてしまうなどのトラブルがないように、保管状態を納得のいくまで確認してもいいと思います。


ところで、和装のときは当然履物は草履ですので、薄暗くて段差の多いコンサートホールでは、結構危険です。歩幅も普段とは全く感覚も違います。エスカレーターをご利用になる時も同じです。御夫婦やカップルの方は、美しいお相手に見とれているばかりでなく、しっかりエスコートしてあげて欲しいと思います。


休憩中のお化粧室のご利用も、着物を普段から着慣れていらっしゃらない方は、時間にゆとりをもって行かれることをお勧め致します。お着物がもし、少し着崩れたら、慌てずにおはしょりに手を入れて整えることで、たいていは持ち直すことができるでしょう。


コーヒーをお召し物にこぼしてしまったり、お着物が本当に着崩れてしまって、着替える場所が欲しいなど、もし、何か困ったことが起こったならば、レセプショニストにSOSしてください。濡れタオルをお出しするなどあくまで応急処置になることもありますが、できる限りのことはさせていただきます。安心してとびきりのコンサートをお楽しみください。