シウォニヒョンと合流して食事に出かけたものの、僕は食欲がなくサラダをモソモソと食べただけだった。
そのまま無機質な週末を過ごし、どんよりしたまま新しい一週間が始まった。
朝からカトクの受信音が鳴る。
僕はあれから一度も副社長からのカトクを開けていない。
読む気にもならなくて、あまりにもピコンピコン鳴るから副社長からの受信設定を変えてしまった。
こうしてスルーしておけば、そのうち飽きるだろう。僕にカトクを送る時間を恋人に使えばいい。
ただ、仕事を黙々とこなし、家と会社を往復するだけの生活がしばらく続いたある日、帰宅するとマンションの前に人影。
僕は、その人影を通りすぎてエントランスに入る。
「チャンミン!」
僕は返事もせずに、自分の部屋に向かう。
パタパタと足音がついてくる。
「チャンミン!」
ドアの前までついてきた副社長は、僕の腕をつかんだ。
「チャンミンてば!」
「痛いので離してください。」
「あっ!ごめん!」
「ここは集合住宅なので騒がれると困ります。通報しますよ?お帰りください。」
僕は一言も挟む余地なく一気に話して、ドアを閉めた。
何度かチャイムがなったけど、すぐに静かになった。
これでいい。
目の前で閉められたドアに茫然とした。
なんで?
この一週間、カトクが全然既読にならなくて、もしかして体調でも崩したのかとマンションまできてみたらチャンミンの様子がおかしい。
俺と目を合わせてもくれないし、しまいには通報するとまで言われた。
前回ここに来たときは部屋に招き入れてくれて、マシュマロが入ったコーヒーをご馳走してくれたのに。
俺、何をやらかした?
話がしたくてチャイムを鳴らしても応答がない。
さっきの感じからすると、これでドアをノックしたらマジで通報されるな。
なんなんだ?
どうしたらいいんだ?
このままここにいて他の住人に通報されても困るから、とりあえず今日は帰るか。
エントランスを出てチャンミンの部屋の窓を見上げると、きっちりと閉められたカーテンの隙間から光が洩れていた。
チャンミン、どうしちゃったのかな。