「副社長はただ、大食いの従業員が珍しかっただけなんだよ。なのに、勝手に浮かれて…僕、自分がそっちの人だなんて、思いもしなかった。」

もう、キュヒョンの顔も見れなくて、コーヒーに映る自分の顔だけを見る。

「副社長が連れの人を恋人だって紹介したのか?」

僕は声に出さずに首を横に振る。

「じゃあ、なんで?」

「だって…二人で腕を組んでウェディングドレスを見てたんだよ。副社長はとても優しい顔で彼女さんを見てた…」

仲睦まじい様子が頭から離れない。

「彼女と決まった訳じゃないだろっての。」

キュヒョンはスマホを弄りだした。

「あー、なんか腹減ったわ。飯食いにいこうぜ。スポンサーつかまえたから。」

スポンサー?

「シウォニヒョン?」

「おう。ヒョン、今日オフみたいだ。15分くらいで来るってさ。飯食うついでに訊いてみろよ。」

ヒョンがいるっていいよな。

僕は冷めかけたコーヒーを飲んだ。