幸せだった。今のままでいいと思った。
妥協とかじゃなくて今が楽しかったから、
これ以上悪くなるなら、
このままでいいと思ったからかもしれない。
だから貰う代わりに捨てたんだ。
シアワセニナリタイ…
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じりじりと息を殺されるような暑さ。
よくわからない6月の空気の中、
東京都心から少し外れた此処、創美大。
伝統的な美術から現代アートまで
毎年世界最先端で活躍する
クリエイティブライターを輩出している名門美術大学だ。

毎年才能をと努力をもつ優れた人材が日本中から勝ち抜いて入学している。

あと3か月過ぎれば創美大の学祭、創美祭が行われる。
誰でも見学できる創美祭は同級生、親はもちろん、
将来有望な人材をみつけるスカウトマンも多く来る。
創美祭で有名になった先輩も少なくない。

今日はその創美祭についての詳しい説明会がある。
「おはよう!いよいよこの日が来たのね!もう昨日から寝れなかったの!」
都は同級生で私と同じ3年生。
一睡もしてないといっても彼女の睡眠時間は平均10時間。
今日は大体7時間ぐらいといったところだろうか。

「おはよう。五月蠅い睡眠小児はおいておいて私達は早くホールに向かいましょう。」
蝶夜も同じく三年生の友達である。

「蝶夜、その毒舌、どうにかなんないの?都みてみなよ、涙目。」
「ほら、涙拭いて。」
ただ単に彼女は素直じゃないのかもしれない。
「はやく立ちなさいよ。ますます子供みたいじゃない。」
人を逆上させるには一品。
私が彼女をここまで理解できるようになったのも高校生活を友に過ごしていたからだと思う。
「蝶夜の小学生!!!」
都はあっさりと蝶夜の地雷を踏んでしまう。
怒らせることが目的なのだろう。
この二人の喧嘩に耐えている自分を誉めたくなってくる。
溜息をつきながらも此処は居心地がいい。
幸せにあふれている、と思う。

私は生暖かい空気の中、
ホールまで二人を見守りながら歩くことにする