- 畠中 恵
- ぬしさまへ
- ~あらすじ~
廻船問屋 長崎屋。
江戸でも指折りの大棚で、日本橋に店を構えるが、若旦那の一太郎はとにかく体が弱かった。
なにかあっては熱を出し、倒れる始末。
そうして、ことある度に、早く寝かせなくては、と、手代の仁吉と佐助に担いで離れへ運ばれるのだった。
そんな一太郎だが、不思議な力がある。
妖、妖怪の姿が見えるのだ。
長崎屋に現れるのは、鳴家、鈴彦姫、かわうそ、野寺坊などなど、手代の二人も白沢と犬神という妖で。
そんな一太郎たちの周りには、次々と事件が起きる。
幼馴染の菓子を食べた老人が死に、新品のはずの布団からは夜な夜な鳴く声が聞こえる。
そこを解決していくのが一太郎の名推理。
妖たちも手となり、足となり、一太郎のためにと動くのだった。
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『しゃばけ』の続編です。
- 畠中 恵
- しゃばけ
一太郎の不思議な力については、そちらをお読みくださいませ。
そうすることで、この世界により一層引き寄せられる事でしょう。
妖怪たちはみんなどこか抜けていて、やはり人でないからか、考える事が微妙にずれてます。
しかも、両親も、手代たちも、一太郎に甘すぎる。
病弱な一人息子となると、やっぱりそうなっちゃうんでしょうね。
『ぬしさまへ』は短編集です。6つのお話が入っています。
どれもみな謎があり、それを解いていくのですが、最後の最後には若旦那一人だけ。
最大のピンチ!
(なんたって、ややもすれば寝込んでしまうのですから)
なお、一太郎は薬種屋を任されています。
(それでも咳の1つもしようものなら強制送還ですが)
こんなひ弱な若旦那なのに、難事件でも解決してしまう、という。
収録の話の中では、「空のビーダマ」がすごくしっとりしてて好きです。
この後にさらに続編も出ているようですよ。