母が、結婚生活のどこで病気を発症したのか。
はたまた、結婚する前からもう病気だったのか、それはわたしも知らないし、その話を父と詳しく話してはいないし、これからも話す予定はないが、わたしの記憶をたどってみても、父もまた幼い頃は母の病気について知らない様子だった。
それは、母の様子を見ていないわけではなく、何か変だど感じてはいるがその正体には気付いてない。ということだ。
幼い記憶の中でおぼろげに、あれはそうだったのだろうと感じる記憶がある。
あれは、わたしが5歳の頃。
ちょうど弟が生まれて1年経っただろう頃。
夜、部屋が薄暗い中、弟が泣いている(夜泣き)時に、手を引かれ、狭い部屋をぐるぐると歩き回っていた。
母は、「○○ちゃんが(弟)、おかしいからどっか行っちゃおう。」
おぼろげにだが、こんな風に言って、家の中をぐるぐると歩き回された。
育児にはかなりのストレスがかかる。
きっと彼女には、そのストレスに耐え切れる精神力も、周りの手助けもなかったのだろう。
わたしは覚えてる記憶の中で、いつも一人で遊んでいた。
時には、公園に行ったり、家の外だったり。
記憶の中にあるのは、知らない人の家に上がり込んで、遊んでいる姿。
きっとわたしは、今で言う放置子で、それを親に叱られた記憶もない。
わたしは一人外に出て、一人で帰ってくる。
小さな頃に、母の記憶はおぼろげだ。