父は、気に食わないことや、思い通りにならない事があると私や弟の大切な物を壊したり隠したりすることで、私や弟のことをコントロールする癖があった。


初めて壊されたのは、おじいちゃんに買ってもらった弟とお揃いの人形。



小学生のころの話

父がテレビを見ている横で、弟と人形で遊んでいた。

冬の日の事で、ストーブの前で暖まりながら遊んでいた事を覚えている。

父は何度か私と弟に向かって
うるさい、静かにしろ
という様なことを言っていたが、あまり聞き入れることなく人形遊びを続けていた。


すると次の瞬間、父は私の手から人形を取り上げてストーブの上に置いた。

石油ストーブの上に置かれた人形は、外側のフェルトが焼けて溶け、中綿が剥き出しになった。



一番のお気に入りが壊されるのは、この時だけではなかった。



この日以来、私は父のご機嫌をとり、父のして欲しい事を先回りしてするような"いい子"を演じるようになった。