父と二人暮らしをしていた2年間の間に、母は見つかった。
久しぶりに会う母は、何も変わってはいなくて安心した。
父と母は、母方の祖母の家で何度も話し合いをしていた。
「今までのことは全部許すから、帰ってきてよ」
何度も父が母に問いかけるが
母は首を縦には振らなかった。
話の流れから、なんとなく
母が悪い事をしたのだと思っていた。
そしてそれは、私は25歳になる頃まで訂正される事がなかった。
母が家出をしたのは事実だ。
しかし当時、母は育児ノイローゼや鬱だった。
判断能力が鈍り、私と弟を置いて出た時のことは靄がかかったようで、あまり覚えていないと話してくれた。
都合のいい嘘なのかもしれないし、本当かもしれない。
でも私には、母の私や弟に対する愛情が嘘だとは思えなかった。