日付が変わる頃、父が帰宅する。

それからお風呂を沸かしてもらい、私と父はお風呂に入った。

お風呂の中で父は私にニヤニヤしながら言う

「お母さん、もう帰ってこないかもね?どうするー?PONちゃんが悪い子だから、お母さん出て言っちゃったんだよ?」



母がいる時から、父はこんな風な事をよく言う人だった。

ニヤニヤしながら、不安を煽るような事を言うのだ。

「そんなことない!帰ってくる!」
半分意地になりながら私は答えた。


きっと明日の朝、目が覚めたらお母さんがいるはず。
きっといる。

そう願って私は布団に潜り込んだ。


しかし、その願いも虚しく
このアパートに母が帰ってくることは一度も無かった。