先日、昔からお世話になっている大先輩ナースのお見舞いに行った。

今の職場で上司の同級生が声を掛けてくれてのことだった。

その大先輩は25年前に私が勤めていた病院(現在の職場でもある)に中途採用で入ってきたナースだった。
初めての印象は、自信に満ちていて面白く“この人は上に立つ人だな”といったものだった。
2年くらい一緒に働いて私は夢だった英語圏のホームステイを経験したくて退職。
帰国して本屋さんでばったり出会い、リクルートされて再就職。
その頃には既に師長さんになられていたと思う。
頻回だった訳ではないが、何かと気にかけてもらったり、飲みに行ったり、また転職した後も何故か縁があり、今、私が古巣で働けているのもこの現在は部長さんになっている大先輩のリクルートによるものだった。

バイタリティーがあり女性らしいのに男前な彼女が好きだった。

状態がよくないから…と同級生師長さんから聞いてはいたが、病室で再開した部長さんは明らかに末期と分かる状態だった。

看護師であるが故か自己の状況も的確に把握していた。
優しい表情で現状を話してくれたが、聞くのも見るのも辛かった。
お互いに『今日が今生の別れ』とわかってのお見舞いであった。

自分がもう少し演技でも上手だったら…と思った。
亡くなり逝く姿も気丈だった。
部長の前では涙は流すまいと決めていたが、最後に握手したら止めどもなく涙が溢れてしまった。
本人も家族も覚悟をしているような状況では誤魔化しはきかないのだ。
これまでの感謝を伝えることができて良かった。
部長さんからは『一回りも下なのに、困った時は○○ちゃん頼みだったわ。』と言葉をもらって、更に嗚咽してしまった。
20代の子供さん達がいる中で、はばかることもできず、申し訳ないことだった。

思い起こせば、部長さんはリクルートしてくれる度に私を管理職にしようと画策していた。

期待に応えられなくてごめんなさい。
そして、これまでありがとうございました。

また、ご飯に行ったり飲みに行く機会もあるだろうと勝手に希望を持っていた私は大馬鹿で知らぬが仏だった。

妹さんや3人の子供さんに看護してもらって心強いと言っていた。
遠方にいる長男さんも時期を逸することなく、側に帰ってこれてて良かったと思った。

声を掛けてくれた同級生にも感謝したい。

年を取るとこんな辛い別れも多くなるのだな。