
アニエスベーとシーイン、価値観の違い
パリの老舗百貨店BHVに、中国発のSHEINが常設出店した。フランスでは“ウルトラ・ファスト・ファッション”と呼ばれるSHEINの進出に、賛否が割れている。
アニエスベーをはじめ、いくつかのブランドが静かに撤退を決めた。
理由は単純だ。
――価値観が合わなかった。
SHEINのビジネスモデルは、早く・安く・多く。
その裏にあるのは、環境への負荷や労働の不透明さ、デザイン盗用への疑い。
センスやカッコよさを大切にするフランスの空気とは、どうしても馴染まない。
一方で、BHVの運営会社は「新しい客層を取り込みたい」と前を向く。
長引く百貨店不況のなか、SHEINは「希望」と「不安」を同時に運んできた存在なのだろう。
このブログを読んで下さっている人の中でも30年ほど前、アニエスベーのスナップカーディガンがとても流行った時代を覚えている人も少なくないのではないか。
渋谷系の音楽とファッションがミックスされ、
雑誌『オリーブ』を片手に、ベレー帽をかぶって、フランス映画を愛好する。
そんな“オリーブ少女”たちが雑誌のオシャレスナップを飾っていた時代だ。
“着ること”は、個性や思想の表現だった。(そーゆー個性的な人がパターン化されると没個性になってしまう話はまた別の機会に)
でも今は、クリックひとつで“コスパの良い服”が届く。
便利だけど、ちょっとつまんない。
