日経新聞の広告欄で見つけました。

書店でも平積みされており、

私の好きなビジネス小説です。


清武英利氏『どんがら』

ページ数…348ページ

トヨタのエンジニアたちがスポーツカー開発に情熱を注いだストーリーです。

巻末の著者のコメントによれば、

登場人物は全て実名ということなので、

ノンフィクション小説です。


"どんがら"とは、

試作車を作る段階での

鉄板剥き出しで中身も色もついていない状態

を言うそうです。


「絶対に売れない、儲からない」と言われ、長年スポーツカー開発から遠のいていたトヨタ。

主人公の多田哲哉氏が"86(ハチロク)"と"スープラ"を多くの苦難と困難を乗り越え開発していきます。


 「車は通勤から商談、運送、レジャーに

  至るまで幅広く、ちゃんと役立つものだ。

  これに対し、スポーツカーは心を満たす

  趣味の領域のものだ」


この言葉の通り、

開発に携わる人たちは皆、スポーツカー好きです。

好きで情熱を持っていないと務まらない仕事ですね。


私は車には疎いので、本中に出てくる車種や専門用語はよくわかりませんでした。

“86(ハチロク)"はかろうじて知っていましたが、

この開発が富士重工業(スバル)との共同開発だったことや"スープラ"がBMWとの共同開発だったことを初めて知りました。

同じ自動車メーカーであっても社風や製造に関する考え方や言葉の定義も異なるので、実現には大きな壁が何枚もある様子が描かれています。


ただ、少し物足りないなぁと感じたところは

ノンフィクションなので仕方ない部分はありますが、絶対的な悪者は登場しません。

悪者が嫌がらせをしたり、ライバル会社が開発をジャマをしたりといったシーンはありません。

なので、池井戸潤氏の小説シリーズのような

悪者に立ち向かい、打ち負かして勝っていくというような爽快感や盛り上がり、高揚感、ドキドキ感は感じられませんでした。


ひたすらスポーツカー作りに情念を捧げているエンジニアたちが本中にはいます。


専門用語や車種などがわかりにくいなと思いましたが、読みやすい文章であったので、4日間ほどで読み終えることができました。


車好き、スポーツカー好き、"86(ハチロク)"好き、"スープラ"好きにオススメの本です。

逆に車に興味がない人は読まない方がいいかも…


ちなみに新車開発にあたってのトヨタの内情についての記述もありますが、そこまで詳しく書かれてはいません。


でも、メルカリに出品したら10分で売れました。

注目度の高い書籍であることは間違いありません。

興味のある方は是非読んでみてください。