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東京ゲスト・ハウス (河出文庫)
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旅から帰ってくる時の、
あの現実へ引き戻されることへの恐怖といったら。
旅をする人は、みんなそう感じているだろうと思う。
そんな、旅から帰ってきた人たちが、
旅を延長させるかのように集まってくる、
東京ゲストハウス。
バックパッカーだった人たちが、
現実に戻ることを恐れてか、
単に生活のためなのか、
この場所に集まってくる。
そんな物語だった。
普通の旅本とは違い、
旅してきたその後の気持ちを色々思い出した。
つらいんだよこれが。
日本へと辿り着いて、
日本食を好きなだけ食べられる喜びとか、
どこに行っても気を張っていなくてはいけない
旅の緊張感から解き離れた安心感とか、
なんだろうか分からない虚しさとか、
自由の身じゃなくなったことへの悔しさとか、
そういう感情がザワザワとよみがえってきた。
ゲストハウスというのは、たいてい、ごちゃごちゃしている。
しかし、そのごちゃごちゃが楽しいんだよね。
それが心地いいかは別として、楽しくはある。
旅している時は。
東京ゲストハウスは、
世界のどっかのゲストハウスのように、
とてもごちゃごちゃしていた。
日本にいながらも、ごちゃごちゃを楽しめるだろうか。