やっと読み終えた。
私は本を読むのは早い方だけど、
この本は厚いし内容も難しく、
重たかったので、
一週間ほどかかった。
おもしろかった。
戦争の話なんだから、
おもしろい、
という表現は不謹慎かもしれないけど。
石川さんの書く文章がよかった。
石川さんの本は初めて読んだし、
存在を知ったのも初めてなんだけど、
他の本も読んでみたいと思う。
一番衝撃的だったのは、
「射殺した解放戦線容疑者の肝臓を取り出し、
何人かの兵士が銃剣でスライスし生のままで食べてしまった」
という写真だった。
戦争がいかに人を狂わせるかを一番感じた写真。
いつか観た日本の映画の中にも、
日本兵が空腹に耐えられなく、
死人の肉を食べるというシーンがあったけど、
それとはまた違う。
ベトナム兵たちは、
空腹に耐えられなく、
肝臓を食べたのではないように思えたので。
他に印象的だったのは、
「部落のはずれで見張りをする兵士。
遠く離れた家族を想っているのだろうか」
という写真。
涙が出た言葉に、
「戦争が終わって本当に良かった。
もう、戦闘で死ぬ人はいないのだ、
ベトナムは解放されて本当に良かったと思った。
私が従軍している時に見た、
あの親に手を握られて死んでいった子供、
戦死した夫にすがりついて泣いている妻、
血まみれの母の横で乳をさぐっていた
赤子の姿を思い浮かべた。」
という一節。
石川さんは世界一周旅行をするつもりで、
日本を飛び出したのに、
いつの間にか戦場カメラマンになり、
ジャーナリストになってしまった。
そこがすごくおもしろい。