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堂上最内のブログ

物書きのネタ帳です。
小説、エッセー、雑文をメモ帳替りに書き込んでいます。

  ステテコは、素肌に履くか、パンツの上に履くかをネットで調べてみると、多くの人はパンツの上に履くと答えている。
  いち早く市場にステテコを発売し、「おやじのもの」、「じじくさい」というイメージの強かったステテコを、一躍ファッショナブルなヤングファッションに押し上げた功績のあるユニクロのサイトでは、「素肌に直接着用して頂くことを前提にしており、肌触りがよく、シルキーなタッチのエアリズムを発売しています」と書いてある。確かにユニクロのステテコは2種類ある。前開きのないものは、パンツの上にはき、ちょっとした外出もOKなおしゃれな柄のステテコ。もう一種類は、エアリズムという明らかにズボンの下に履くための、シルキーなものだ。ユニクロはこの、「シルキーなもの」に対して、「直接素肌に着用」するとしている。つまり、「パンツははかず」にそのまま履けと。
  せっかくのメーカー提案であるから、やってみた。確かに肌触りは非常に良いし、とても涼しくて、下履きとしては満点なのだが、なぜか、タマ袋の毛が痛い。引っ張られるような感触で、非常に痛い。電車の座席に座った時には、もはや激痛と言っても過言ではない。毛が引っ張られて、抜けそうになっている時の、鋭い痛さだ。
  バックパックを膝の上に乗せて、それで隠れるようにして、右手をズボンの中にそっと入れた。恐らく、そのものの収まっている場所が悪いのだろう。そう思って、それの場所を変えてみる。だが、やはり「引っ張られる」感はとても強く痛い。一体、なぜ毛が引っ張れているのかが分からないから、手のうちようがない。あまり、バックパックの影でズボンに手を入れてもぞもぞしているのは、他人から見れば変だろう。そう、変態だ。変態だと指摘されたあら、なんという?ステテコの生地にあそこの毛が挟まって、引っ張られているみたいで痛いのです。色々やってみましたが、直りませんと?どう説明しても、変態そのものだ。従って、そのまま、じっと耐えているしかない。
  降車駅についたので、目の前の乗客をかき分けて私は席を立った。出遅れると、降りられないまま乗ってくる人波に押されて奥へ奥へと流されてしまう。ここは正念場だ。
  無事に降車してはたと気づく。痛くないのである。あの激痛が何であったのかと不審におもいながらも電車を降りた。
  パンツをはかずに直接エアリズムのステテコを着用すると、まるで履いていないかのような、自由な感覚が得られる。安定が悪いというよりも、自由、フリーな開放感というか。少し背徳的な開放感というか。
  人は背徳な生き物だ。常識やルールに縛られることを好まない。人間はある種、野生の部分で、自由でありたいのだ。ゆえに、人間は背徳ななのである。
  ステテコ一枚でここまで思いを致すことができた。それが収穫といえば収穫か。