もん子のお気に入り土偶file no.28
ゆるキャラみたいな愛嬌のある土偶
(市立岡谷美術考古館蔵)目切遺跡
縄文時代中期中葉。タテ15.1㎝、ヨコ7.6㎝、厚さ7.4㎝
愛嬌があってとても可愛いんだけど、なんだか全体的にしっくりこない感じが。
元気に投げ出した左足に対して「ヘソ」が描かれている腹部の一片が大きい。
色が違うし。
「まぁまぁ、グルリと回して見てごらん」
右足は欠けて見つからなかったのかな?
あ、お腹と胸下の継ぎ目が意外と自然。
前に伸ばした左の拳(?)にはどんな意味が?
そして!
謎が解けました
てっきり左足(しかもつま先まで)と思ってみていた部分がなんと!
腰部だったのですねっ
しかも背中のV字模様や脇から腰の曲線模様が
お顔に似合わずクールなのです
うしろ姿は精悍。後ろ前で真逆なイメージ。
ここが腰ってことは、完品は座っていたのか?
または立位の形で真下に足がのびていたのか?
してみると、ずいぶん大人っぽいプロポーションが予想される気がしてきた。
3頭身くらいの可愛らしい土偶と比べて「モデル体型」なのかも知れません。
正面顔がふざけた感じだったのに、見方を変えたら神々しく思えてきた・・・・。
この意味不明の左腕だって、
悩める者たち(?)を包むような、たしなめるような、諭すような仕草に見えて。
弱きものに手を差し伸べる聖母みたい
「ふふ・・・やっとわかりましたか?」
「あたしって、」
「スゴイでしょー」
そうそう、頭の造りだって
髪が結われてるし貫通孔もありました!
「ゆるキャラ風だ」とか「ふざけてる」とか思って見ていたこの土偶。
実はとてもとても尊く高貴なお方に違いない、と確信したのでした。
正面からだけの鑑賞ではもったいない!
360度回っていただくと、こんなに奥深い世界が広がっているではないか
「おーっほっほっほ」
可愛いお顔の尊いお方・・・・。
また会いに行ってもいいですか?
館のスター
「顔面把手付深鉢型土器」
私立岡谷美術考古館