いわゆる「リーダー論」「主従・上下関係に基づいたしつけ」というものが、明確な根拠があるとは言えないにもかかわらず、何故こうも多くの人に受け入れられるのか?ということについて、考察という名の妄想をしてみようというシリーズ記事の2回目です。

いくつかの要因にわけられると思うので、それぞれを順に見ていきます。


・軍用犬から、猟犬、牧羊犬

まず、犬と人との歴史は、ものっすごい大昔からと言われているわけですが、古代には「軍用犬」として、すでに犬が使われていたようです。
そしてその後中世になって、貴族が狩猟に犬を使ったり、牧羊犬などの使役犬が登場します。
そこから、様々な犬の訓練が一般化していったのではないかと推測されます。※1

こう考えてみると、そもそも「犬の立場」って、いわゆる「家来」とかそういったところに近かったんじゃないかな?と思うんですね。
「ヒト⇔イヌ」の関係は、「主⇔従」の関係にとても近かったんだろうと。

でもって、いわゆる「訓練」が一般化していく過程においても、そもそも「主⇔従」の関係でずっとやってきただろうし、それでうまくいってもいたのだろうし、わざわざ考え直す必要もなかっただろうと思います。

更にそこへ「オオカミが祖先」ってのが出てきた。
で、群れの下位にいると思われるオオカミが、上位にいると思われる個体に対する行動と、飼い主に対してイヌがとる行動に、似たものがあった。
これは、「主⇔従」の関係で考えていた人にとっては、ひとつの福音のようになったろうなぁとも思います。
「オオカミがああいう感じなんだから、イヌもそういう感じだろう」的なね。

そして、その考えにのっとって、「訓練」が一般化していきます。



・訓練士による、家庭犬の訓練

従来、「しつけ」と「訓練」は、それほど区別はされてなかったと思います。
今でも「しつけ訓練」と称するプロの方はいらっしゃいますしね。
そのことの是非を問うつもりはありません。
ここで示したいのは、「家庭犬を、訓練士が訓練してきた歴史がある」ということです。

そもそも「訓練士」っていうのは、警察犬とか盲導犬とか、そういった「使役犬」を訓練する人たちの総称であったと思うのですが、家庭で犬を飼うことが一般的になってきて、そうした犬の「しつけ」のために、「訓練」をし始めた訓練士たちがいたんですよね。

「訓練」というものは、先に書いたように「軍用犬から始まった歴史」がありますから、もろ「主従」の関係性で考えられていたのだろうと思います。
僕自身の経験からいってもそうでした。

そして、それでうまくいっちゃうんですよね、これが。
実際、服従してるようにも見えますしね。
昔は全然疑ってなかったですねぇ。

でも、それが本当に「うまくいっていた」のかどうかは、また別の話だったり。


その3に続きますー。



※1
森裕司(編),奥野卓司(編)(2008),ヒトと動物の関係学 第3巻 ペットと社会,岩波書店,pp.34-49.




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