彼女の番号は僕から聞きました。




ですがその時、僕はこう言いました。




『僕から電話をかけることはしないけど、番号教えて。仕事の事で悩んだり、困ったりしたら電話ちょうだい。俺水商売長かったら、相談に乗れると思うし、君の助けになりたい。』




本心でした。




面倒を見たくなるくらい、僕は彼女に癒されました。




何でもいいから、助けになりたかったのです。




なんならお客さんから関係を始めようと思いました。




同時に、この子が水商売をする上で、これから経験するであろう心の痛みを、悲しく思いました。




ですが、その日会ったばかりの、しかも酔っ払いの僕です。
お節介に思われてもおかしくありません。




というより、ほぼ間違いなくウザイでしょう。




単純に、電話をかけないと言ったのは、嫌われたくなかったからです。




ウザイと思われたくなかったのです。




だけど、ひょっとしたら助けになれるかも、という淡い期待で、番号を聞いたのです。




そして数日後




電話がなりました。

僕は長い間水商売をしていました。






期間にして約6年。






ただの黒服から、マネージャーと呼ばれるまで頑張りました。





今は広告関係の仕事をしています。





彼女と出会った当時は、水商売を辞めた直後。





まだ仕事を決めていない時でした。





僕は携帯の番号もメアドも当時からずっと変えていません。





今でも、水商売当時のお客様と連絡を取っています。





その中のある方に、忘年会に誘っていただきました。





そうして、無職なのにキャバクラへ行きました。





一応、派遣でアルバイトはしていましたが…無職と言っていい状態でした。













彼女との出会い






それは12月5日の夜






ある繁華街の飲み屋さんでした。






いわゆるキャバクラです。





新しく出来た大型店。





初めて入ったその店で、僕についた女の子。






おっとりとした優しい雰囲気。







一日体験(初出勤)の初々しさ。






僕はすぐに彼女を気に入りました。






帰り際に電話番号を聞きました。






ですが、その時は、僕から電話をかける気はありませんでした。