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SLEEP BEFORE YOU LOOK

dairy, essay, review (music, book), et cetera.

 今月から社会人生活を始めた。職業は大まかに言って編集者ということになる。職場は東京のまんなかの、さほどがやがやしていない一角にある。まわりにはおいしい(おいしそうな)飲食店がたくさんあって、毎日の昼食が楽しみ。
 「ヘンシューシャ」というそこそこかっこいい感じの響きに反して(?)実際にやることはとても地味だ、と入社試験の際にずいぶんと言われたが、クリエイティヴなところが少しでもあるなら僕は満足するはず。とりあえず、今のところは悪くない感じだ。まあ入社して間もなくお盆休みになってしまったので、良いか悪いか判断するには早すぎるのだけど。職業柄、繁忙期には(締め切りが迫ってくると)言葉遣いが荒くなるらしい。てめー、このやろう、ぶっころすぞ。といった言葉を集めてイメージ・トレーニングをしているのだが、果たして。
 今週いっぱいが休業で、土日にはさまれているから(もともと土日は仕事は休み)9日間の夏休み。社会人としては長めなのか、どうなのか。今日買い物したアパレルショップの店員(※注1)の夏休みは5日間だったそうで羨ましがられた。

※注1:売り物とは関係ない身の上話をする(させられる)アパレルショップの店員っていけ好かないのだけれど、今日服を買いに行ったらそういう店員に付きまとわれてしまった。で、試着しようとしたら僕が選ばなかった服をその序でに押し付けがましく渡され、不運と思いながらしぶしぶ着てみたらこれが存外にも(自分で選んだのよりも)良い感じだったので、これは僕の負けです。アパレルショップの戦い。——2013年8月17日 20:00に投稿した我がツイートより

 夏休み期間は母校合唱部の定期演奏会に出演したり、友人の世話になって東北へ旅したり、充実した生活を送りました。特に東北は宮城県への旅については別の機会に記したいと思う。「震災の記憶」の記録を……。
 9日間の夏休みと書いたが、最終日である明日(日曜日)は入社して初めての休日出勤をすることになっているので、事実上の夏休みは8日間。今日で終わり。それで、今日は「お買物(※注2)」しにひとりで出かけたのである。上に書いたアパレルショップの戦いのほか、本屋や電気屋に立ち寄った。

※注2:後出の江國香織さんのエッセイによれば、《服とか靴とか襟巻とかお菓子とか、好きなもの、きれいなもの、気持ちが華やぐようなものだけ買う買物が、「お買物」》で、これは「お」のつかない《ただの買物とはちがう》。(《》内の引用は『やわらかなレタス』18頁より)

 本屋へは特定の本を買うためにではなく、今日は偶然の出会いを求めて。何冊か目にとまって、結局は2冊買う。そのうちひとつは文庫の新刊、江國香織さんのエッセイ集『やわらかなレタス』(文春文庫)。帰りの電車でちょっと読んでみる。まず出てくるのが「あたたかいジュース」のはなし。
 「あたたかいジュース」は『ムーミン谷の冬』という本に出てくる《色も味も、本のなかでは一切説明されてな》いジュースなのだそう。《スグリなのか、りんごなのか、レモンなのか》、《何のジュースなのかもわからない》ということだが、僕はふと電気ケトルで温められたグレープフルーツジュースのことを思い出した。思い出したと言っても、それを僕が飲んだり作ったりしたわけではなくて、前に読んだ本に出てきたのを。あれは菊地成孔氏の『スペインの宇宙食』だったっけ。

(これより確認作業に入る)

 ありました。《さっき起きました。煙草の吸い過ぎでノドが痛く、冷蔵庫のグレープフルーツジュースをケトルで温めてハチミツを入れて飲みました。目に入った湯気をいぶかしそうにしながら、甘く、温かく、苦い液体を一口。》(菊地成孔『スペインの宇宙食』より)
 ありました、と豪語しましたが、白状すると本をぱらぱら5分くらいめくったくらいでは見つからず、悔しいけれどインターネットで検索してその文章を見つけました。なので何頁に出てきたのか不明。でも『スペインの宇宙食』にあるのは確かのようです。
 それで僕がイメージする「あたたかいジュース」はグレープフルーツジュースでして、でもまだ飲んだことがないのでこの機会に、と電車を降りて駅のスーパーマーケットでグレープフルーツジュースを買って帰ってきた。これから温めてみようと思います。ケトルではなく電子レンジで、になりますが、気になるお味は……(気になる人はお試しあれ)。