ブログの更新が滞っておりましたが皆さんお元気でしたか?

新型コロナも少し収束の兆しがありますが、まだまだ油断はできませんよね。

 

数か月に及ぶ自粛ムード、緊迫状態のためすっかり疲れがたまってしまいましたね。

 

今日はそんな疲労やストレスへの対抗力を向上するためのビタミンのひとつ

ナイアシンについてお話しします。

 

ナイアシンはビタミンB3に位置付けれていますが、生体内でトリプトファンを原料にして合成されるため、厳密にいうとビタミンではありません。

 

ビタミンの定義は『微量で動物の栄養を支配し正常な生理機能を調節し、完全な物質代謝をなせる有機化合物で、ヒトの体内では生成されず、それ自体としてはエネルギー源にならない必須栄養物質』(食品化学 朝倉書店)とされているからです。

 

簡単に言うと、体内で合成できない微量必須有機化合物です。これらを総称してビタミンと呼んでいます。

さて、ナイアシンに戻ります。

ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)の総称です。

 

体内でエネルギー産生やアミノ酸、脂質代謝に関わる活性型補酵素 (NAD、NADP※) として重要な働きを担っている栄養素です。(※NAD:ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド NADP:ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸。) 

また、遺伝子やホルモンの合成、細胞の分化にも関わるほか、血管拡張作用を持ち、血管循環を円滑にする働きも 併せ持っており、皮膚の発育や消化器系の働きの促進、解毒作用、老化防止作用などがあります。

 

500種近い酵素の補酵素として働くナイアシンは、  不足することで様々な症状を引き起こします。ナイアシン欠乏症は、DNA合成低下やトリプトファン代謝障害によって、水泡、角化、乾燥、口角炎、口内炎、粘膜皮膚障害の発症、エネルギー産生の不足や脳神経伝達物質代謝不全による食欲不振、神経衰弱(ノイローゼ)、不眠症などが主な兆候です。

 

しかし、これらの症状は、どれもナイアシン不足が主原因であると判断しづらいものばかりです。

 

一方、ナイアシンはトリプトファンからも体内で生合成されるので、欠乏にはなりにくいと考えられています。しかし、ビタミンB2、B6、鉄などが不足すると生成されにくくなってしまうので注意が必要です。ビタミンB群が十分に摂取されている状態で60mgのトリプトファンから1mgのナイアシンが作られるといわれています。

 

多く含まれる食品

ナイアシンは主に肉や魚、特にお刺身に多く含まれています。その他にも、酵母、牛乳、緑黄色野菜、豆類、穀物など、幅広い食品に含まれています。

ナイアシンの欠乏症として有名なのは

「ペラグラ(下痢、皮膚炎、認知症の症状を経て死に至るといわれる疾病)」です。

ナイアシン含量の低い精製トウモロコシを主食とする地域で発見されました。ペラグラの発症は日本では稀ですが、ナイアシンを積極的に摂取することで、症状の改善が認められた例が知られており注目されています。

 

統合失調症の改善

82名の統合失調症患者にナイアシン治療の二重盲検試験と7年にわたる追跡調査を行ったところ、62名のナイアシン摂取をした群(入院中および退院後最低1年連続摂取)は、20名のコントロール群に比べ、5年、症状が現れないという結果になりました。

36名の入院中統合失調症患者が二重盲検試験を行い、 ナイアシンアミドを1日3g、5週間摂取した群とコントロール群の実験終了後12か月までの入院日数を比較した所、ナイアシンアミド摂取群の方が40%低い事がわかりました。

うつ病の改善

1950年に発表された報告によると、1日 450 - 2500 mg のナイアシン摂取は、恐らくナイアシン欠乏症でないと 診断されたうつ病患者に効果があるそうです。

また、ナイアシン自体にうつ病改善の効果があるかは わかっていませんが、L-トリプトファンによる抗うつ病効果をサポートするといわれています。

変形性膝関節症の改善

カーフマン(米国)らが1940年代~1950年代に変形性膝関節症の600名を対象に行なった実験で、ナイアシンアミドを1日に900 - 4000 mg 摂取させると、関節可動域が大きくなり、関節の炎症や痛みが軽減される事がわかりました。摂取量は可動域の広さによって調節することが必要ですが、およそ3−4週間で効果が現れたようです。また、ナイアシンアミドは摂取量よりも摂取頻度が多いほど効果があるそうです。

 

許容上限摂取量

ニコチンアミドは450mg(長期使用)、1500mg(短期使用)

ニコチン酸は150mg(長期使用)、500mg(短期使用)です。

この量を超えるニコチン酸の服用で一時的な皮膚のほてりが一部の方に出ることがあります。

なお、出血傾向、糖尿病、緑内障、痛風、肝疾患、低血圧、胃潰瘍のあるかたは主治医に相談してから服用されることをお勧めします。

 

次回は亜鉛についてお話しします。