どうしても国民のみなさんに知っておいてもらいたく、
ブログとして記載します
私は東京都内の比較的大きな病院で働き、
現在はコロナウイルス感染症の患者様の対応をしている医師です。
あまりに過酷な東京都の現状に関して、
特にご葬儀に関することに関して、記載させていただきます
普段SNS発信など行っておらず、
読みづらい点はご容赦ください
志村けんさんや岡江久美子さんがコロナウイルスによる感染で命を落とされ、
その最期の時間の過ごし方についてメディアで広まるところとなり、多くの方が見聞きされたのではないかと思います
「病院に面会に行けない」
「死亡確認に立ち会えない」
「遺体は納体袋におさめられ、家族が一目も顔を見ることなく、火葬され、その骨が自宅に届けられる」
という内容が多くの国民に伝わりました
ご家族の面会や見取りの行い方には、現在どこの病院にも感染防御具(PPE)が十分にないこと、
ご家族も濃厚接触者である可能性が高く、
その方が外出すること、病院に出入りすることで感染を広げることなど、
様々なリスクが懸念されることから、病院によって対応は分かれます
多くの病院では、危篤時もベッドサイドでの長時間の付き添いは禁止、
完全に心停止されてから個室の窓越しにお顔をみていただく、携帯電話のビデオ通話などを利用する、などの方法がとられているのではないでしょうか
この点に関しては病院の人的・物的キャパシティに依存するので今回は触れません
しかし、死後、ご遺体の引き取り、埋葬、遺骨となって帰宅されるまでの流れには、
報道されているような悲しい方法以外にも、いくつも方法があります
厚生労働省のホームページのリンクを貼ります
以下は、リンクから記載の転記です
「新型コロナウイルスに関するQ&A 遺体等を取り扱う方へ」
Q 新型コロナウイルスにより亡くなられた方及びその疑いがある方の遺体の搬送作業や火葬作業に従事する者が留意すべき事項はありますか。
A 遺体の搬送や火葬場における火葬に際しては、遺体からの感染を防ぐため、遺体について全体を覆う非透過性納体袋に収容・密封することが望ましいです。遺体を非透過性納体袋に収容・密封後に、納体袋の表面を消毒してください。遺族等の意向にも配意しつつ、極力そのままの状態で火葬するよう努めてください。
また、遺体の搬送に際し、遺体が非透過性納体袋に収容、密封されている限りにおいては、特別の感染防止策は不要であり、遺体の搬送を遺族等が行うことも差し支えありません。
他方、継続的に遺体の搬送作業及び火葬作業に従事する者にあっては、必ず手袋を着用し、血液・体液・分泌物(汗を除く。)・排泄物などが顔に飛散するおそれのある場合には、不織布製マスク、眼の防護(フェイスシールド又はゴーグル)を使用してください。衣服への汚染を避けるため、ディスポーザブルの長袖ガウンの着用が望ましいです。また、これらの器具が汚染された場合には、単回使用のものは適切に廃棄し、再利用するものは適切な消毒を行ってください。
火葬に先立ち、遺族等が遺体に直接触れることを希望する場合には、遺族等に手袋等の着用をお願いしてください。
万が一、遺体の体液等で汚染された場合など、消毒を行う必要が生じた場合には、消毒に用いる薬品は、0.05~0.5%(500~5,000 ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭*、または30分間浸漬、アルコール(消毒用エタノール,70v/v%イソプロパノール)で清拭、または30分間浸漬とし、消毒法は、消毒薬を十分に浸した布又はペーパータオル等で当該箇所を満遍なく拭く方法が望まれます。消毒剤の噴霧は不完全な消毒やウイルスの舞い上がりを招く可能性があり、推奨しません。また、可燃性のある消毒薬を使用する場合については火気のある場所で行わないようにしてください。
手指衛生は、感染防止策の基本であり、遺体に接触、あるいは消毒措置を講じた際等には、手袋を外した後に流水・石鹸による手洗い又は速乾性擦式消毒用アルコール製剤による手指衛生を実施してください。
*血液などの汚染に対しては0.5%(5,000ppm),また明らかな血液汚染がない場合には0.05%(500 ppm)を用いる。なお,血液などの汚染に対しては,ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム顆粒も有効である。
(参考)
「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」(平成25年6月26日(平成30年6月21日一部改定)新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議)における「Ⅹ 埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン」の第2章の4.の「(4)搬送作業及び火葬作業に従事する者の感染防止策に係る留意事項」(P212)
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/h300621gl_guideline.pdf
「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」(*エボラ出血熱参照)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000417412.pdf
**********転記ここまで********************
「遺体が非透過性納体袋に収容、密封されている限りにおいては、特別の感染防止策は不要であり、遺体の搬送を遺族等が行うことも差し支えありません。」
つまり、「納体袋」に納まっていれば、普通にご遺体は自宅に(火葬前であっても)帰宅できますし、
袋ごと棺にいれたり、葬儀でみなさんに思い出の品を入れていただくことだってできるのです。
ここでいう「非透過性納体袋」というのは、「中身が透けて見えない袋」という意味ではなく、
「体液や細菌を外に出さない袋」という意味です。
ですから、「透明で、中の見える非透過性納体袋」というものは存在するのです。
亡くなったコロナ患者さまはその表面はウイルスが付着していることや
移動に伴い体が圧迫されることで口からの吐息にウイルスが混じっていることなどにより、
ご遺体を触った人、ご遺体の近くにいた人に感染する可能性があります。
そのため「非透過性納体袋」というものに納める必要があります。
病室でこの非透過性納体袋に納め、外側を適切な薬品で吹き上げ消毒などを行ったあとは、
通常通りのお葬式ができます。
(袋のチャックをあけることはできません)
田舎の方では珍しくないのですが、
通常、ご遺体を、ご家族が自家用車で連れて帰られることもあります。
死亡診断書と一緒に移動すれば、
自家用車で家族がなくなったご家族を連れて帰ることができるのです。
(自分が田舎にいたころは、ご遺体を自家用車に積み込むお手伝いを何度もしました)
「非透過性納体袋」におさめれば、コロナで亡くなった患者さまでもこの方法で帰宅することは可能ですし、
お通夜や、お葬式も通常通りできるのです。
(もちろん、同居や付き添いをしていたご家族は濃厚接触者に該当する可能性が高く、
また現在のコロナ禍の中で葬儀を通常通り行うかは別の問題です。
しかし、誰も顔をみることもなく、火葬されてしまう必然性はないのです)
実際に、神戸市や金沢では、「透明な非透過性納体袋」が使われているようです。
インターネットの記事のリンクをはります
神戸の記事
金沢の記事
これをみていただければわかるように、
「透明な非透過性納体袋」におさめれば、故人のお顔をみていただくこともできますし、
通常通りに葬儀することも可能なのです
しかし、残念なことに東京都では葬儀会社同士でルールを作り上げ、
「通常の葬儀と同じ、お通夜・告別式後の火葬はできません。」とか
「場内でのお別れ、お花入れはできません」などとしています
また、4月上旬は、都内全体でも1日たったの2件しか対応してくれない状態でした
(現在は少し緩和されていますが、それでも、通常の葬儀は行ってくれず、直接火葬されています)
あたかも感染症法で定められたかのようにホームページを作り上げ、
患者さまとの最後のお別れの時間を奪っている葬儀会社には憤りを感じます
病院には火葬待ちのご遺体が多くとどまるようになっており、
体育館に安置所を作る計画なども持ち上がっています
国民の多くのみなさんは葬儀業界というかなり特殊な世界の情報に疎く、
またコロナというまだ誰も経験したことのない敵と戦い方も手探りで日々戦っている状態でいる中、
情報を隠す、捻じ曲げるなどして、自分たちの不利益を減らし、過大なリスク回避をし、
利用者に不利益を被らせているこの業界の状況に、憤りを隠せません
故人の顔も見せず、直葬し、骨を拾わせることもせず、骨壺を届ける。
病院では「志村けん式」と呼んでいます(一般の方が聞かれると失礼な言い方だと思います)
5月1日に行われた専門家会議の資料をご覧ください
社会的課題への対応について(p13)
「亡くなられた方に対して尊厳を持ってお別れ、火葬等が行われるための適切な 感染予防方法の周知」
が挙げられています
つまり現在は、尊厳を持ったお別れができず、適切な感染症法予防法の解釈に基づいた火葬等が行われていない!
ということになります
是非、知ってください
声を上げてください
何も知らない市民の皆さんに、
高額の葬儀費用を取った上で、不要な手順を踏み、
個人・遺族の気持ちを二の次にしている現在の葬儀会社を
このままにしておくわけにはいかないと思うのです
明日は、あなたの家族、友人かもしれません
是非、葬儀会社以外の情報を、入手してください
お願いします
一勤務医が葬儀会社に訴えても、
なんの改善にもつながらないのです