人を許すことができますように。
自分を愛することができますように。

完璧じゃないもの(汚れ)
を受け入れ
共に生きることができますように。

心の糧である
この詩を胸に
あらためて切に願う。



最低にして最高の道

もう止さう。

ちひさな利慾とちひさな不平と、

ちひさなぐちとちひさな怒りと、

さういふうるさいけちなものは、

ああ、きれいにもう止さう。

わたくし事のいさこざに

見にくい皺を縦によせて

この世を地獄に住むのは止さう。

こそこそと裏から裏へ

うす汚い企みをやるのは止さう。

この世の抜駆けはもう止さう。

さういふ事はともかく忘れて

みんなと一緒に大きく生きよう。

見えもかけ値もない裸のこころで

らくらくと、のびのびと、

あの空を仰いでわれらは生きよう。

泣くも笑ふもみんなと一緒に

最低にして最高の道をゆかう。


詩:高村光太郎