家にいる時間が増えたので、最近読んだ本と論文の感想を以下に載せておきます。

建設工学(構造/防災/計画)と企業経営に関わるものが多いです。

 

2020/12/09

「GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略(田中 道昭 2019)」

 この本では米中の4大プラットフォーマーの企業戦略を2社ずつ比較している(例:最初の章ではアマゾンとアリババ)。孫氏の兵法を経営学的にアレンジして既存のビジネスフレームワークより広い視点で分析することで各社の理念や事業領域、収益構造、強み、弱みがまとめてわかるようになっている特徴がある。各社の志向には違いがあり、それぞれ顧客志向、社会問題解決志向、新価値提供志向、技術志向に大別できるが、いずれも創業者の思想と強くかかわっているため、8社を深く理解する際には企業の沿革だけでなく創業者の生い立ちや習得した学問分野、起業の動機を知る必要があると考えられる。その一方で、各社は事業領域に差はあるが、人の利便性の欲求に応えるために、生活にデジタル機器とサービスをより深くかかわらせようとしていることが分かった。(352/400字)

 

個人的には行き過ぎたデジタル化により人々の情緒的な関係が薄れ、偏った情報があふれることで人々の建設的な議論が阻害されないか心配である。また、アリババがネット通販とリアル店舗の融合においてアマゾンより優位であること、ファーウェイが技術志向であることが印象に残った。(131/150字)

 

2020/12/09

“Non-compulsory measures sufficiently reduced human mobility in Tokyo during the COVID-19 epidemic (Takahiro Yabe et al.、2020)”

 この論文では東京都内を対象に、携帯電話から収集したモビリティデータを用いて新型コロナウイルスの蔓延による法的拘束力がない非医薬品介入(NPI。日本の緊急事態宣言に法的拘束力はない)が個人の移動量、社会的接触量に与える影響を調べた後、それらが実効再生産数(Rt)をどう変化させるかを計算した。その結果、コロナウイルス感染者が増え始めた3月下旬以前から移動性の低下や社会的接触の低下が起こっており、それに従ってRtが4月に入ると減少し始めたが、それらの2つの指標が一定の閾値を超えると実効再生産数がほぼ一定になることが示された。したがって、少なくとも2020年4月の段階では東京都を法的にロックダウンさせることなく、市民の行動変容(心理的方略)によりコロナウイルスの感染拡大を防ぐことができていると考えられる。(343字。以下、個人的な意見)

 

ただし、都内の12月のコロナウイルスの感染者と重症者数は再び増加している。また、実効再生産数も1を超えた。この原因はPCR検査数が増えたことや、気温と湿度が春よりも低いことが考えられる。したがって、国や都は経済への影響も考慮しつつ再び緊急事態宣言を発令し、市民の行動変容を促すべきである。(139字)

 

2020/12/09

「人工知能はなぜ椅子に座れないのか(松田雄馬 2018)」

 この本では、人工知能が世界を支配するという未来像に対して、人工知能と生物の違いを説明することによって疑問を投げかけている。より詳しく言うと、生物は自分の身体の内部状態を基準に、刻一刻と変化する環境の中で身体を使うことにより場と自己、そして場と自己の関係性を認識でき、行動の目的を作ることができる。その一方で、人工知能はそれ単体では身体を持たず、たとえ人型ロボットに人工知能が埋め込まれて身体を持てたとしても、人間によってプログラムがあらかじめ与えられなければ場と自己、そして場と自己の関係性を認識できない。また人工知能が行動の目的を作ることもできない。さらに、もし身体を持つ人工知能に生物のように身体の内部状態を規定するプログラムを埋め込んだとしても、フレーム問題に突き当たってしまうため、人工知能が部分的に人間の知能を上回る場面はありうるが、人工知能が世界を支配するということはないと考えられる。(399字。以下、個人的な意見)

 

私は、人工知能そのものが世界を支配することがないという主張には賛成する。また、人工知能によって人類が危機に陥るとすれば、それは人間が人工知能を悪用する時だと思う。(81字)

 

2020/12/10

“National BIM Digital Platform for Construction(INNOVance Project)(Pavan, Alberto, et al.、2020)”

ミラノ工科大学の「INNOVanceプロジェクト」においてINNOVanceという国家レベルでのBIM(Building Information Model)手法を備えた建設業界初のデジタルプラットフォームが開発された。このプラットフォームには3つの特徴がある。まず、設計、施工、維持管理にかかわる人が別々のソフトウェアを使ったとしてもデータの抽出・再配置と情報共有ができる(ICTの相互運用性と標準化)。次に、BIMオブジェクトと密接に関係する属性が(ソフトウェアの管理にかかわる属性を除き)グラフィックファイルの容量を大きくしない。最後に、このプラットフォームは同業他社のものと違って、BIMプラットフォームによるデータの蓄積、構造化や情報を管理する機能だけでなく、製品や建物のシステムの一覧表であるBIMライブラリ、情報共有のための作業環境であるBIMサーバ機能を備えている。このようなBIMプラットフォームが建設業界に普及すると、構造物のライフサイクル全体にわたる情報管理の簡素化と透明性の確保、そして設計から維持管理にいたる一連の過程の最適化によるコスト削減、業務効率化、インフラの品質向上、環境保護につながると考えられる。(460字)

 

私はBIMの知見が少ないため、INNOVanceがBIM市場のなかでどのような立ち位置にいるかがわからなかった。したがって、私はこれから日本を含む他国のBIMがINNOVanceと同じか、または全く違う機能を備えているかどうかを調査したい。(98字)

 

2020/12/13

“From Cloud to BIM Model of the Built Environment: The Digitized Process for Competitive Tender, Project, Construction and Management (Franco Guzzetti et al. 2020)”

  本論文の研究対象は都市のオープンスペース(地下空間を含む)のモデル化である。この論文では最初にBIMと入札の関係について言及されている。BIMモデルは建物のライフサイクルに関わる数字の間の相互運用性が大きい。従って従来よりも短い時間で正確な公共事業の入札が可能となる。言い換えれば、BIMモデルによって、行政がリアルタイムで異なる計画案を比較することができ、異なる計画案の間で維持管理コストの差が大きいことが容易に確認できる。次に、建物などのモデル化におけるBIMの位置づけを説明している。建物などのモデル化の際には表現の精度と表現しなければならない要素間のバランスを考慮する必要があるため、BIM以外にGISや点群も用いられる。BIMは点群データより操作者が材料を要素単位で指定でき、要素の数を数えることができるという点で優位である一方、精度は劣る。また、BIMは地図をもとにしたGISよりは精度が良い。したがって、配置される要素が多岐にわたる都市のオープンスペースのモデル化には精度の追求よりも各要素に紐づけられる情報の把握が入札の正確さを増すために重要なことから、BIMが最適なモデル化手法であると考えられる。(483字。以下、意見)

 

私はまず、モデル化対象によって表現の精度と表現しなければならない要素間のバランスが異なるので、最適なモデル化手法が変わることを知った。私はこれから実例を通して建物などのモデル化手法の選択の根拠を調査したい。次に、BIMが入札の正確さや時間の節約に貢献することを知った。私は、自然環境中にある建物をモデル化することによって、建物の状態や維持管理コストの不確かさは小さくなると考えるが、BIMが使われ始めたのはごく最近であるから、入札の正確さが事例を通してどれくらい向上するかはまだ検証されていないとも考える。従って、わたしは今後時間が経過する中でBIMを使った入札の事例を通して入札の正確さがどれほど向上したかを調査したい。(305字)

 

2020/12/15

「コンパクトシティ形成に向けた土地利用について(藤波匠,2018)」

 この論文では2000年代と2010年代の国や地方自治体によるコンパクトシティ政策を土地利用や関連法令の観点から年代で比較することで、コンパクトシティ政策には集住促進よりも公共交通機関を軸とした多極分散型政策が有効であることと、土地利用の観点から見て今後予想される課題を示している。コンパクトシティ政策とは、都市機能と住宅を中心市街地又は郊外の中の拠点に集約させる政策である。まず、中心市街地への都市機能の集積が進まない理由として地権の複雑さや土地面積の狭さが挙げられる一方、郊外に都市機能が集積してしまう理由として市街化調整区域の例外規定や農地転用が多いこと、そして大店法の廃止(大店立地法に切り替え)による出店規模の規制撤廃が挙げられる。次に、中心市街地への都市機能の集積が進まない理由として、地方移住者が集合住宅よりも一軒家を志向する傾向があるということが挙げられる。つまり、個人の意思決定との関係が強い集住促進政策を軸としたコンパクトシティ政策を実行することは難しいと考えられる。従って、都市機能と住宅を中心市街地又は郊外の中の拠点に集約させるためには、多極分散型政策を軸とした政策を実行する必要がある。まず、新たに居住誘導区域や都市機能誘導区域を作り、且つ両方の区域が広すぎないことが必要である。次に、行政による郊外開発に対する課税や農地転用の抑制、中心市街地開発への財政的優遇措置が挙げられる。最後に行政による都市のスポンジ化対策として土地所有者探索支援や建築基準法を満たさない土地の換地促進政策が挙げられる。(654字。以下、意見)コンパクトシティ政策の実行によるメリットはインフラの維持管理費用の低減、日常生活における移動距離の短縮、環境負荷の低減などが挙げられる。しかし、コンパクトシティ政策によって人口密度が上がると騒音問題や渋滞問題がより深刻になる可能性があるので、自動車の都市への流入の制御も必要である。また、郊外に住む人が減ると農業に従事する人の割合も減少する可能性があるため、都市の中に農地を作り住民が共同で管理するなど、地域内の食料自給を維持する政策も必要であると考えられる。(230字)

 

2020/12/17

“The Construction Contract Execution Through the Integration of Blockchain Technology(DI GIUDA et al., 2020 )”

本論文ではBIMモデルとブロックチェーン技術の統合が、建設業における設計、入札、施工、維持管理の各段階でどのように貢献するかと、建設業にブロックチェーンを導入する際の課題について示している。まず、BIMモデルとブロックチェーン技術の統合による利点は4つある。まず、各当事者が仲介者を経由せずに直接データを迅速にやり取りできるようになる。次に、情報の変更にはすべての当事者による承認が必要であるため、情報が容易には変更できない。3番目に、情報の追跡可能性が向上する(つまり、情報の変更履歴が時系列で簡単に把握できるようになる)。最後に、コンピュータによって実行可能なデータ形式(プログラミング言語)で契約条項を表現できるようになる。したがって、当事者同士の情報の非対称性が起こりにくくなることでより合理的な契約の締結と履行(設計、施工、維持管理のこと)の促進が期待される。次にその一方で、BIMモデルとブロックチェーン技術の統合に支障をきたす課題がいくつかある。まず、BIMモデルとブロックチェーン技術の統合を実際に行う人材の育成や機関の設置がまだあまり行われていないことが挙げられる。次に、モデルで想定した環境と実際の建設工程の間に不確かさが存在するので、工程の変更を予測することが困難なこが挙げられる。このようにBIMモデルとブロックチェーン技術の統合には多くの利点と課題があるが、この技術は建設業界の持続可能性と透明性の向上に有効であると考えられる。(617字。以下、意見)

私はBIMモデルとブロックチェーン技術の統合に賛成である。なぜならその技術により入札や契約の締結や履行がより科学的かつ合理的に行われるからである。しかし、私はこの技術を普及させるにあたり人材の育成が最も大きな障害であると考える。なぜなら、人がBIMモデルとブロックチェーン技術の両方を理解して実務に応用できるまでには年単位の時間がかかるからである。私は大学で建設工学を勉強しているが、ブロックチェーンについてはほとんど何も知らないので、学外のインターン(ブロックチェーンを建設業やほかの界に応用している企業などでやる)や独学でブロックチェーンについて学び、手を動かしてこれを実装できるようにしたい。その後、BIMとブロックチェーンを統合している事例を多く見つけて論文を読みたい。そもそもBIMとブロックチェーンを両方知っている人を知らないので、一度そんな人に会ってみたい。(378字)

 

2020/12/20

「経営者の条件(P.F.ドラッカー, 2006) ※原著は1966年発行」

  本書では知識労働者(自らの専門分野についてほかの誰よりも知っているべき人)がその知識や地位を以って組織の業績や活動に貢献し、成果(成果は組織の外部にあるものとされている)をあげるべきエグゼクティブとなるための行動指針について述べている。エグゼクティブには主に3つのことが必要とされる。まず、自分と組織が成果を出すために自分や上司、部下の強みを使って自分と上司、部下が組織に果たすべき貢献に焦点を当て、且つそのような貢献を実際に行うことが必要である。次に、自分と組織が成果を出すために時間をリアルタイムで記録し、時間の浪費の原因を整理し、時間を最も重要な仕事に集中できるようにまとめることが必要である。最後に、エグゼクティブは意思決定を行う際に常に問題が一般的かどうか、それとも例外的かどうか、そしてそもそもその意思決定が必要かどうかを問い、その意思決定が満たすべき必要条件を検討し、自らの意見と有意性の基準を先に持っている状態で実際に現場からフィードバックをもらい、事実を確定させてその意見を検証する必要がある。特に、意思決定により成果を出すためには各々のエグゼクティブ間にある意見の不一致が代替案の策定や想像力の刺激となり、成果の最大化に繋がることも説明されている。このように、エグゼクティブには常に自らと組織がなすべきことを考えて行動に移し、限られた時間の中で成果を出すことが求められる。(596字)

 

 私はこの本を読んで2020年9月~10月のプログラミングインターンに「限られた時間内でチームと自分の成果を最大化する」のための行動をする経験をするために参加したことを思い出した。私はこの目的のためにできることはすべてやった自覚があった。しかし、チームのメンバーの時間の浪費の原因や他人が書いたコードの強みに詳細に言及せずに、自分が書いたコードをそのまま共有するという対処療法に近い方法で成果を出そうとしたことは改善されるべきである。つまり、自分の課題が完成しても限られた時間内でのチームの成果の最大化のためにより他人の強み(このインターンでは、コードを最初から教えすぎずに自力でコードをある程度書かせて、他人が自力で書いたコードの良いところを活かすこと)を尊重して行動することが必要であったと考えられる。また、コンピュータの普及により人の手による単純計算にかかる人手が減り、組織内の意思決定にかかわる人の割合が増えたことがわかった。(411字)

2020/12/22

“BIMReL: The Interoperable BIM Library for Construction Products Data Sharing”(2020)

この論文では、BIM環境下で建設に関わる製品のデータを一度に素早く共有するためのプラットフォームであるBIMReLの開発の目的、仕様と建設業界への影響について述べている。まず、BIMReLの開発の目的は、建設業界に関わる製品のライフサイクルの各段階における環境影響(負の影響)を提言することと、建築構造物に関わる利害関係者がより現実の光景に近いモデルを見ることで建築構造物が新設又は補修・補強された後の現実の世界をよりはっきりとイメージできるようにすることである。次に、BIMReLの仕様のうち特徴的なものは、3次元モデル内に製品の属性が付与されていること、異なる製品同士を簡単に比較できるツールがあること、各製品の属性データから建築構造物全体の情報を作成できることである。最後に、BIMReLは建設業界に対して2つの良い影響を与えた。まず、建設会社と設計者とメーカーが直接、BIMReLを用いて特定の製品を選択するための対話が可能になった点が挙げられる。次に、建設業界の部品メーカーがBIMReLを用いて製品のラインナップや製品同士の比較結果をコンピュータ上で公開することで販路を容易に拡大できるようになり、且つ建設計画に関わらない人の自然環境保護意識を高めることができる。このように、BIMReLは建設業界の部品のライフサイクルアセスメントの結果の比較を容易にし、その結果の不確かさを小さくすることと、建築構造物に関わる利害関係者の自然環境保護意識の醸成や建設業界内の情報の非対称性の解消にも貢献する。(616字)

 

 私はこの論文を読み、BIM環境下で建設に関わる製品のデータを一度に素早く共有することが情報の非対称性の解消だけでなく建築構造物の部品、ひいては建築構造物のライフサイクルアセスメントの結果の正確さの向上やライフサイクルアセスメント結果の見直しのサイクルの高速化に繋がると考えた。ライフサイクルアセスメントの正確さの向上と為には製品の原料のインベントリデータ等、製品のライフサイクルに関わるデータベースの充実と製造システムの漸進的な改良が不可欠である。したがって、BIMReLが建設業界や部品メーカーで普及することによって製品の製造システムを改良する動機が生まれ、製品のライフサイクル(特に、製造工程)に関わるデータベースが充実し、また製造システムの漸進的な改良がなされるという、自然環境保護のための正のフィードバックが生まれると考えられる。(362字)

※参考: 「環境工学 第13回 LCA(結果の解釈と改善)」

 

2020/12/25

“Life Cycle BIM-Oriented Data Collection: A Framework for Supporting Practitioners”(Dalla Valle et al., 2020)

この論文では、ライフサイクル思考(LCT)をBIMと結びつけて、各工程にライフサイクル思考を浸透させることの重要性を建築構造物の持続可能性(資源効率の改善)の観点から主張している。具体的には、まずBIMを建設工程と連動して時間の経過とともにライフサイクルに関する情報の量と質が改善されるデータベースとして開発し、運用することが建設事業に関わる持続可能性の目標を定義し、且つそれに関する閾値を設定することに繋がる。次に、それがライフサイクルに関する情報の追跡可能性の向上とその後の工程全体の内外からの監視、そして持続可能性の観点から見た工程全体の最適化に繋がる。このように、ライフサイクル思考(LCT)をBIMと結びつけることが建築工程全体で行われる意思決定の一連の基準を明確にし、且つ地蔵可能性の向上の為に見直すことに繋がる。さらにそれが構造物の安全性、使用性、美観全てについてライフサイクル思考を軸にした意思決定と工程の実行を可能にし、建築構造物の持続可能性を向上させるのである。(427字。以下、意見)

 

私はBIMにLCTを結びつけることに賛成である。従来、構造物を設計する際の優先順位は、安全性、使用性、美観の順であったが、新たにライフサイクルが基準として加わることで従来の3つの基準による意思決定がいずれも地球環境の保護と持続可能性の担保につながるからである。しかし、ライフサイクル思考が各建設工程の担当者に浸透することが部分最適化ではなく、長期的な時間軸から見た建設工程や構造物全体の最適化に繋がることが求められると考えられる。さらに、構造物には可搬性がなく、国や地域によって自然環境の条件が異なる。そのため、構造物の持続可能性にかかわる変数が国や地域により異なるということが考えられる。したがって、BIMとライフサイクル思考を結びつけた建設工程を国際標準とするためには、設計基準のように国際規格と国内規格を明確に区別して製作する必要があると考えられる(国際規格の名前は、「ライフサイクル思考に準拠した建設工程の立て方」であり、且つその規格の中にBIMの活用法が入ると推測される)。(434字)

 

2020/12/26

“Decision-Making BIM Platform for Chemical Building Products (Gabriele Gazzaniga et al ,2020)”

この論文はBIMによってコンクリートの混和剤などの幾何学的な特徴を持たない建築用化学製品のデータを過不足なくデジタル化するための過程を述べている。まず、最適な商品をBIM環境下で属性が紐づけられた状態で選択する方法としてフォールトツリー解析(特定の望ましくない事象につながる因果関係をツリーの上から下に向かって解析する手法)を用いることが必要である。ここで使われるフォールトツリー解析には以下の2つの目的がある。第一に、製品に属性を紐づけ、選択過程を再現するためである。第二に、製品の選択者があらかじめ作られたフォールトツリーを上から下に追っていくことで最適な商品を選べるようになることである。次に、製品選択の意思決定の合理化のためにBIMに入力された製品の性能、顧客の要望、製品の使用条件のデータから多基準意思決定分析(さまざまな評価項目で複数の案を評価していき、最適な案を決定するために使われる分析手法)を行い、新しいコンクリート(コンクリートはセメント、骨材、水およびその他の添加物からなる混合物)の設計のための技術仕様を定義することが必要である。このように、決まった形を持たない製品のデータをデジタル化する際は、過不足のないデジタル化と製品選択の合理的な意思決定のために必要な分析を複数行う必要がある。(549字。以下意見)

この論文の趣旨である、決まった形が存在しない建築用化学製品を選択するためには形を持ったBIMオブジェクトではなくフォールトツリー解析や多基準意思決定分析によるデータの体系化が必要であるということには賛成できる。しかし、何故建築用化学製品の選択過程でフォールトツリー解析や多基準意思決定分析がデータの体系化手法としてほかの分析手法よりも優位なのかわからないので、計画系の研究室に入ったら都市計画の手法以外にデータの分析の種類と実務への各分析手法の活かし方をもっと学ぶ必要がある。(236字)

 

2020/12/27

「企業とは何か(P.F.ドラッカー) ※原著は1946年発行」

  この本における企業の定義は、「人の生き方を規定する社会的組織」である。特に、産業社会の存続には製品の大量生産を必要とするため、大規模事業体が必要であることを述べている。従って、企業、とりわけ大規模事業体には産業社会を構成する一因として3つのことが求められる。まず、利益を客観的な評価尺度、生産活動の原資、そしてリスクに対する保険料として位置づけてそれを追求することと、集権と分権のバランスを保つことが求められる。次に、企業の活動と社会的な信条、約束との関わりを認識して公益の増進や社会問題の解決に努めることが求められる。最後に、労働者(この本では、経営者側と労働者側の境界にあたる職長と、職長の下で働く一般の工員)に機会の平等を与えて能力と意欲を引き出すように促すことが必要である。これらのうち企業と社会の存続にとって最も重要なことは、経営者が企業の中に従業員が自分の仕事に意義と誇りを持ち、且つ経営者側の視点で行動でき、能力と意欲ある者を客観的な尺度を以って昇進できる環境を作ることである。(446字。以下、意見)

 

 私は、企業と社会の存続にとって重要な3つの論点にはすべて賛成である。今後、私はドラッカーだけでなくポーター等の他の経済学者が書いた本を読むことで、企業と社会の存続には何が重要かをより深く考えて会社選びと職業選びの軸を強化する。しかし、私は第10章で著者が大企業の規模が大きいことの利点として挙げている点のうちの1点について認識が異なる点がある。大企業が大きな社会的貢献をもたらし、生産上の効率性を持ち、そして各事業部門を横断した研究所等のスタッフ部門を持つことができるという著者の意見には賛成する。特に、研究開発には多様な人材と潤沢な資金が必要であることに強く同意する。同じ章の209頁において、著者は分権制が成り立つ限りにおいて、大企業には訓練された者が働ける場所の候補が多いと主張している。私はこの主張そのものには賛成である。しかし、私は終身雇用制度が強い現状の日本においてそもそも分権制が機能している(つまり、GMのように各事業部長にも経営に関する一定の裁量権があり、本社の経営陣と事業部が互いに経営に参画できる状態)大企業が存在するかどうかがわからない。私の推測では、日本の大企業では社風にもよるが年齢が若い人は年功序列制度を転覆させるほど有能でなければ事業部長になっても経営に参画できない傾向が強いと考えている。むしろ今の日本では、社長がよほど独善的でなければ、ポストの数や経験可能な部署が少ない中小、ベンチャー企業やスタートアップにいるほうが経営そのものに早くから積極的にかかわることができる可能性が高いと考えている。従って、私はこれから一定規模以上の企業の研究をする際、分権制がどの程度機能しているかを調査すると同時に、ほかの経済学者等の企業の分権制に対する考えを学び、企業の分権制の定義を再考する必要がある。(758字)

 

2020/12/29

「あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか(津田久資 2015年)」

 この本では、まず「学ぶ」と「考える」(=論理思考)ことの違いを説明し、次に論理思考の方法、3番目に発想を広くする方法を説明している。第1に、「学ぶ」と「考える」ことの違いは以下のようになる。「学ぶ」は既存の公式やフレームワークに沿って問題や課題を設定し、解決策を検討することである。その一方で、「考える」は公式やフレームワークを制作し、または既存の公式やフレームワークを自分なりに改変して問題や課題を設定し、解決策を検討することである。第2に、論理思考とは、言葉の境界線(言葉の定義を理解したうえで、他人にその定義を理解されるように伝えるという意識)と筋道(Why, How, What)を立てて書くことである。特に言葉の境界線を意識できるようになるためには、国語辞典を引く習慣をつけたり、法文や社会の教科書にある文章を書き写したり、メモを接続詞で繋いだ文章に書き直したり、プレゼンテーションのスライドを作る前にWordを用いて原稿を書いたりする等の論理的に正しい文章を書く練習を続けることが必要となる。第3に、発想を広くするには、まず自分がどの範囲を考えているかを意識し、次に思考の軸と境界線を定めて発想を掘り下げることが必要である。言い換えれば、発想の広さは情報量(情報の総量。アイデアの多様化のためには幅広い分野の情報が必要である)、加工率(流入した情報のうち、初めて「学ぶ」時に知識の成り立ちを考えた後、知識同士を結び付けることで知識を加工できたものの割合)、発想率(加工した情報のうち、論理思考により段階的に項目を分け、項目の末端を具体的且つ漏れのないチェックリストにした後、チェックリストを直感によりアイデアに飛躍させた割合)の積である。このように、「学ぶ」だけでなく「考える」習慣をつけることが個人の自己実現と企業の存続、発展に繋がる。(758字)

 

  私はこの本を読み、論理的な文章を沢山書くこと、情報を幅広く流入させる習慣をつけること、そして論理思考の練習を人生設計やワークショップ、今後の仕事の中で行うことが社会人として生き残るために必要であると認識した。従って、私は本や論文の書評や日記を書く習慣を続け、訪問する場所や読む本をランダムで選んで幅広く情報を流入させ、人生設計、大学のワークショップ、そしてインターンシップで論理思考を自分一人または組織の中で実践する予定である。(214字)