正月明けの経団連会長の原発に関する発言☟で、凍結間近だと思われた英国への原発輸出。
https://ameblo.jp/do-not-stop-thinking/entry-12433867208.html
2019年1月17日日日立製作所が英国のウェールズで計画してきた総額200億ポンド(約2兆8000億円)の原発建設を凍結し、事業を中断すると発表。理由は、建設費用の高騰。
この原子力発電所建設計画「ホライズン・プロジェクト」の凍結により、日立製作所は、2019年3月期決算でホライズンに投じた費用など3,000億円の特別損失を計上し、当期の最終利益予想は4,000億円から1,000億円に下方修正。
2012年に日立製作所は、ドイツの電力会社2社から原発開発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社を892億円で買収。ウェールズ地方のアングルシー島で2基の原発新設建設を進めてきたが、世界的な安全基準強化や労務費の高騰でコストが上昇。風力発電や太陽光発電などの再生エネルギーも普及し、ホライズンに適用される電力買い取り価格が当初の想定よりも低い水準になることが予測された。
日立製作所は、原発事業について、2019念に最終投資判断を行うとした。その判断基準は「民間企業としての経済合理性」(東原敏昭社長)であり、現状100%出資であるホライズン社を非連結化することを最低条件とした。プロジェクトの費用増と収入減から必要とする出資者を集めることができず、「意思決定をこれ以上延ばしても経済合理性に合うスキームはできない」と凍結を決断。
英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の報道官は、「昨年6月の表明通り、支援に合意するには、イギリスの消費者や納税者にとって最適で、支出に見合う価値のあるものでなくてはならない」「関係者全員が懸命に交渉と努力を重ねたが、現段階で政府と日立は前進するための合意に達することができない」と話した。
すでに東芝も海外での原発新設から撤退。三菱重工業はトルコ計画の撤退をまだ正式決定していないが、進めることは不可能な状況。ホライズンも凍結となり、日本企業による原発輸出はとん挫。
原発輸出をアベノミクスの成長戦略の目玉としてきた現政権では、わが国の総理自らがインドやトルコなどにトップセールスを行った。2016年に英国で就任したメイ首相がキャメロン前首相の中国重視の姿勢を翻すと、1兆円規模の支援を決定。
この際に提示されたのは、日本政府が国際協力銀行(JBIC)と政府銀を通じてホライズンに投融資し、日本貿易保険が信用保証枠を設定し、日本のメガバンクやHephaestusといった日英大手金融機関を呼び込んで資金を融通する計画。
さらに翌年には、この原発建設に対して、日本のメガバンクが融資すると想定される数千億円を日本政府が全額を補償する方向で検討していると報じられ、日本政府として強力に原発輸出をバックアップする姿勢が打ち出された。
一方、2017年末に入って、日立製作所の東原社長は「企業だから、採算がとれないものはできない。政府の支援をいただきながら、採算性がきちんと取れる形で、投資家をどんどん募れる環境づくりをやっていくことが重要」と発言。
これを受けて、2018年には、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクとJBICを含む銀行団が総額1.5兆円規模の融資を行う方針を示し、貸し倒れに備えて、日本政府がメガバンクの融資の金額を債務保証することを決定。
債務保証に使われるのは、全て日本国民の税金。
日本政府とともに国策として進めた原発輸出のツケは、巨額損失という形で回ってきた。
納税者として、文句を言っても良いですよね(ㆀ˘・з・˘)
[参考・引用]
「日立、英ウェールズの原発建設を凍結決定」BBC NEWS JAPAN、2019.1.17
「安倍政権が後押しの原発輸出 全て頓挫」こちら原発取材班、中日新聞、2019.1.18
「日立、原発プロジェクト凍結は大英断なのか」東洋経済ONLINE、2019.1.21