東日本大震災が起きた2011年3月以降、東京電力は、原子力発電なき電力供給を続けている。

季節や天候、昼夜を問わず、電力会社が一定の電力を発電する設備を「ベースロード電源」と呼び、東京電力は震災以降、このベースロード電源を原子力からLNG(液化天然ガス)火力発電にシフト。


夏場の冷房や冬場の暖房利用などで電力需要は1日の最大レベルまで増えるが、それに対応するのが「ピークロード電源」で、東京電力は石油火力と水力発電をその電源に使用。

もし、予備率が3%に迫り、需給がひっ迫した場合、東京電力は主に3つの方法で対応。
① 火力発電所の出力を可能な限り上げる。
② 電力を多く使う企業などの大口契約者に対して、電力使用の抑制をお願いする。
③  「電力融通」と呼ばれ、他の電力会社から余剰電力を融通してもらう。

東京電力は、2020年夏の3日間の最大需要平均を5328万kWと予測。予備率予想は11.8%と十分な供給力。東電パワーグリッド・広報もオリンピックによる電力の特別需要を正確に予測するのは難しいが、仮に100万kW上振れしても、十分な供給力を確保している」という。


一方、西日本では、火力電力一つのトラブルでひっ迫する可能性があるという。

関西電力は、2018年7月18日に他社からの電力融通を受けた。中部電力の50万kWを筆頭に、中国電力が20万kW、四国電力が13万kW、北陸電力が10万kW、東電パワーグリッドが7万kW、合計100万kWを関電に供給。


6年前に舞鶴発電所1号機(出力90万kW)と南港発電所3号機(同60万kW)の不具合で苦境に陥ったときと同じように、当時も姫路第二発電所5号機(同48.1万kW)が発電機の不具合で7月22日に停止した。


今日も、関西電力の大飯原子力発電所3・4号機(各118万kW)、高浜原発3・4号機(各87万kW)は、104〜106%の増出力でフル稼働を続けている。

東日本については原発を稼働しなくても安定供給が可能との見方が強まっているが、西日本の電力需給については、ベースロード電源としての原発の必要性が失われたとまでは言えない状況


3.11以降、世界では再生可能エネルギーにシフトチェンジしている中、大惨事の当事者の日本が遅れを取っている。

日本政府は、2030年度の電源構成に占める比率を「22~24%」にする目標を掲げているが、ドイツは2030年に50%以上、フランスは2030年に40%、スペインは2020年に40%、イギリスは2020年に31%にする目標を掲げており、諸外国に比べて、日本の目標は著しく低いしかも日本では、目標に掲げる再エネの比率の半分の約8.8~9.2%は既存の一般水力発電も含まれている。それを除くと、2030年時点では、太陽光は7%、風力は1.7%、バイオマスは3.7~4.6%の比率にすぎず、完全に日本は、世界のエネルギー転換から取り残されます」と公言しているようなものだという。

日本のエネルギー転換が決定的に遅れているすべての問題は、現行の中途半端な「電力改革」のあり方に行き着き、原発依存から抜け出せず、再生可能エネルギーが普及しない問題の根本原因もそこにあり、世界的なエネルギー転換への遅れを取り戻すには、既得権益中の既得権益である「原子力ムラ」を解体する電力大改革が必須☟。


ブログ管理人は、東日本大地震のときには、東京に住んでいたので、計画停電や夏冬の節電も経験し、再稼働は反対だし、原発はいらないと真剣に思っている。

一方、阪神淡路大震災でも、停電を免れて、人生でほとんど長時間の停電を未経験なオカンは、「電気がなければ生きていけない。原発がないと困る」と超日本人B層な発言。なのに、電気やTV、石油ファンヒーターなどもつけっぱなし状態で、節電意識ゼロ。

家庭内のエネルギーを世界基準へシフトしたい。


2018年9月6日に起こった北海道胆振東部地震にともない、北海道電力管内では広域大規模停電、いわゆる「ブラックアウト」が起こった。これを受けて、経済産業省資源エネルギー庁が行った家庭や会社でできる節電対策が参考になる。

経済産業省

節電に必要なことは、「ピーク時間帯」と呼ばれる「もっとも電気が使われる時間帯」に、電力需要量を減らすこと。ピーク時間帯にできるだけ電気を使わない「ピークカット」や、電気を使う時間をずらす「ピークシフト」をおこなう必要があるという。ほかの時間帯で節電しても、電力不足の解消への効果は見込めないらしい。

経済産業省

経済産業省

2019年は、節電に加えて、太陽光発電を導入したり、脱・電力会社を計画する予定。



[参考・引用]
佐藤茂、川村力:40℃超えでも原発なき首都圏の電力が足りてる理由ー2020年東京五輪でひっ迫リスクは?、BUSINESS INSIDER JAPAN、2018.7.25
金子勝:再生可能エネルギーが日本で「主力電源」になり得ない理由、DIAMOND online、2018.7.23
電力供給設備、TEPCO 東京電力ホールディングス