昨年後半からの世界的な株安や円高傾向で、GPIFのクジラの行方が気になっていた。
今では、個人の株式投資や積立投資の運用実績は、スマホで常時確認ができるけれども、私たちが支払う公的年金の運用実績は、そうはいかない。
市場のクジラとも呼ばれる約160兆円の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、主に国内債、国内株、外国債、外国株の4つに分散して運用。2017年度末に国内株の運用比率が初めて25%の目安を超えた。2014年には、比較的安全だが利回りが低いとされる国債中心の運用基準を見直して、株式の比率を50%に倍増する運用改革を始めてから、2017年度末時点で初めて基本ポートフォリオ(資産構成割合)の目安を超える。世界的な株価上昇で、2017年度は約10兆800億円の運用益が出ていた。
一方、昨日2月1日にGPIFは、2018年10〜12月期の運用実績が14兆8039億円の赤字だったと発表。四半期ベースでの赤字幅としては過去最大。米中の貿易摩擦などによる世界的な株安で、国内外の株価が大幅に下落したことが要因。急速に円高が進み、外貨で運用している資産が目減りしたことも影響とされている。
昨年12月末時点の資産総額は、150兆6,630億円とクジラが痩せた。今のところ、2001年に市場運用を開始して以降の利回りはプラス2.73%、累積収益額は56兆6,745億円のプラスではある。
ただし、SMBC日興証券の末沢豪謙氏は語る。
年明け以降、株価は一部回復はしているが、世界的に景気に減速懸念が出ており、昨年前半までのような高い運用益は期待できない。
[参考・引用]
「市場のクジラ、おなかいっぱい GPIF『運用目安』超え」日本経済新聞WEB、2018.7.6
「GPIFによる国民年金や厚生年金の運用 14兆8,039億円の赤字と発表」Livedoor NEWS、2019.2.1
「公的年金運用損、最悪の14.8兆円 昨年10〜12月」朝日新聞WEB、2019.2.1