論文を読むことが日課の「めんどうくさいDr.」こと、東京大学病院の循環器医師の稲島司氏が、マーガリンやコーヒーフレッシュが身体に悪い理由DIAMOND Onlineで語っている。

飽和脂肪酸はまっすぐの構造になるため安定していて、分子同士が整列しやすいので常温では固体になりやすい。たとえば動物性の脂肪は、多くが「飽和脂肪酸」で固体です。

一方、植物性の脂肪は「不飽和脂肪酸」が多い。二重結合の部分で角度が変わるから整列しにくくて常温では液体です。オリーブオイル、ゴマ油、菜種油などは液体ですね。ちなみに、ちょっと前から流行っているココナツオイルは植物性の油ですが、例外的に飽和脂肪酸が豊富なため固体で見かけることが多いです。

そんなわけで、動物性の「飽和脂肪酸」は心筋梗塞の一因とも言われています。

心臓の周りの血管が狭くなったり塞がってしまったりすると、狭心症や心筋梗塞になり、時に死に至ります。そして、常温で固まる飽和脂肪酸は、摂りすぎると血管の中で固まってしまいやすいと考えてもらうと良いかもしれません。実際はそれほど単純ではありませんが、イメージとして考えやすいかと思います。でも、自然の飽和脂肪酸であれば、まだ、私はおいしければ食べます。

一方、不飽和脂肪酸だからといって、すべて安全かというと、そうではありません。不飽和脂肪酸でも人工物になってくると、ちょっと問題があるものが出てきます。その代表が「マーガリン」です。ちょっと前に話題になりましたね。

マーガリンは人類に貢献してきた食品だと思います。バターに比べコストが安いし、溶けやすくて使いやすい。そもそもバターなど飽和脂肪酸の摂りすぎを避けるために推奨されてきました。でも10年くらい前から害が指摘されています。

答えは製造法にあります。マーガリンの原料は植物性油脂……液体の油です。そして、これを固めたいとしたら何をしますか? 先の説明の通り、水素を足す方法が使われてきました。「水素添加」と言って、おもに160~180℃でニッケル触媒を使い、植物油に水素を化合させる方法でつくられます。

しかも、人工的に水素を添加すると、二重結合の角度が、自然界にもともと多い「シス型」ではなく「トランス型」が多く生成されます。 トランス型になると分子がまっすぐに近くなるため固体になりやすいのです。

これを摂取し続けるすると−−体の中でどうなるかは割愛しますが−−動脈硬化のリスクが進み、心臓病のリスクが高くなります。

マーガリン以外ではコーヒーフレッシュもトランス型脂肪酸が多く含まれて、こちらは「飲むプラスチック」だと言う人もいます。

プラスチックは石油を固めたものですよね。一部の「あぶら代替物」は植物油から作られているため体に「悪くなさそう」なイメージがありますが、水素添加という意味ではプラスチックに近い作り方をしているとも言えるかもしれません。あとは食感を良くするために使われるショートニングにも多く含まれているようです。こういった風潮を受けて「トランス脂肪酸フリー」なんて商品も出回り始めましたね。


ブログ管理人は、30年以上前に、有機化学の授業で同じ話を聞いた。そのとき、教室が「小学校の6年間、毎日、マーガリンが出ていた」と騒然になった。それ以来、マーガリンを口にしていない。

コーヒーフレッシュは、数年前まで、外食先でコーヒーや紅茶用のミルクを頼むと、コーヒーフレッシュしかないと言われたときに、口にしていたこともあったが完全にやめた。

今では、トランス脂肪酸を気にする外カフェのお店も充実して、生乳や豆乳が常備されているお店が増えてうれしい。



[参考・引用]
夏目幸明:マーガリンやコーヒーフレッシュはなぜ体に悪いのか、DIAMOND Online、2015.10.9