現在、日本人の多くが、ミツバチやサルも食べない遺伝子組み換えの野菜を食べている。
そう警告するのは、野口のタネ店主 野口勲氏。
野口勲:タネが危ない
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ブログ管理人は、すいぶん前に野口氏の講演会でお話を聴いてから、お野菜を選ぶようになった。
今、世界の農家で使われる殆どのタネが「F1」と呼ばれる一世代限りしか使えないタネ。そして、F1の中でもオシベがない「雄性不稔」と呼ばれる生物学的に異常なタネが増えている。
食糧生産の効率化のために増え続けるF1のタネに、世界中で食の安心や安全への意識が高まっている(日本は、そのことすら知らないB層が多い)。
雄性不稔のタネと同様に、安全性に疑問を持たれている遺伝子組み換えのタネは、あまりにも世界中の消費者から評判が悪くなり、ヨーロッパでは遺伝子組み換えのタネを受け入れている国はスペインだけ。
現代の農業では、外食産業から、同じ規格のものを大量に作ることが求められ、F1のタネを使わなければならない。同じ成育の仕方をして、型にはまった形になり、同じ時期に収穫できて、出荷しやすく、売りやすい。
一方、「在来種」や「固定種」と呼ばれる昔から使われているタネは、一粒一粒に特徴があり、多様性があり、早く育つものもあれば、遅く育つものもある。葉の形を見たり、成育の状況を見ながら、大きくなったものから収穫。一度タネをまけば、長い間収穫できるが、需要に合わせてまとまった量を定期的に出荷することができず、お金にするのが難しい。
在来種や固定種は、味も昔の野菜そのままで美味しく、家庭菜園に向いているという。無農薬や有機肥料で育てても、味を決める8割はタネにある。本当に昔ながらの美味しい野菜を食べたいなら在来種を自分で育てるしかない。
固定種の栽培は、都内の方が向いていると。日本の野菜はアブラナ科が多く、かぶ、なっぱ、大根などは交雑しやすいので、自分でタネ取り(自家採種)するためには、混ざりやすい野菜から隔絶した場所でやらなければならない。その点、都内は畑がないので種採りがラク。最近のF1野菜は、花粉ができないから交雑しない。タネ取りを都内の庭や畑でやるのはオススメだという。
日本では、215万軒(H27年、農水省統計)の農家が1億2,000万人の食べ物を作っている。効率良く、周年栽培(1年中栽培すること)して供給しなければならない。だから、社会全体の食の需要を賄うにはF1のタネは必要だと。
ただし、雄性不稔というオシベを持たない異常な株を利用して作られたタネが増えて、花粉ができない、子孫ができない野菜が増え続けており、これが危険ではないかと訴えて、危惧している。
私たちは、子孫を残せない野菜ばかりを食べている。
JAで売られているのは、ほとんどがF1の古いタネ。今のF1のタネは、ほとんどが海外採種。2006年から2007年にかけて、蜂がいなくなった。人間のタネ(精子)も大丈夫なのか。
昔は、世界で何億人もの農家たちがタネ採りをやっていたので、タネを支配することはできなかった。その後、タネが買うものになり、種苗会社を吸収してモンサント(バイエルが買収)の様な巨大企業になってタネを独占すれば、世界の食糧を支配でき、世界を支配できる。
野口氏は、「タネ屋なのになぜ自家採種をお客さんに勧めるんですか」とよく聞かれるという。
タネを売って儲けるだけなら、こんな商売はしないと。自家採種して一軒だけでも自分の家族は健康に育てたいとタネを採ってくれていれば、もし世界中のタネがモンサントに独占されたり、そのタネのせいで人類が滅亡するとなったときに、日本中の家庭菜園のどこかに固定種のタネが残っていれば、その健康なタネを元にして、また増やすことができる。もう一度人類を復活させることができる。そのために固定種と在来種のタネの販売を続けているんです。
私はタネ屋を継ぐ前、手塚治虫の漫画編集の仕事をしていました。彼のテーマ、作品の根幹は生命。命をつなぐこと、地球の環境と生命を持続させることでした。このタネ屋のテーマも同じです。このままだと世界はお金持ちや大企業の思う方向に進むだけであって、その中で私たち個人が生き延びるためには、自分でタネをまいて野菜を育てて、それを食べて、自分でタネを採って、それを自分の子供につなぐしかないと思っています。
それをやるかやらないか、それはあなたがたの問題です。うちはタネを提供するだけです。そして一度買ったタネは二度とうちから買わないでほしい、タネをちゃんと採って欲しい。あなたの土地に合ったタネを育てて欲しい。それが野口のタネの営業方針です。
ブログ管理人は、家庭菜園の練習に長野県で夏野菜を育ててみたが、わずか3,000円の初期費用の放ったらかし菜園で、秋まで食べきれないほどのお野菜を採取。
家庭菜園をしてみると、植物の生命力に大いに感動して、自然からエネルギーを頂き、豊かさのアバンダンス(豊作、豊潤)も体験できた。
この春からは、固定種で家庭菜園もはじめる予定。