アマゾンは日本に法人税を支払っていない。

個人的に通販では、アマゾンのサイトを検索に用いて、メルカリやロハコ(アスクル)などで購入している。


2014年12月期のアマゾンの日本での売上高は8,387億円なのに、同期のアマゾン日本法人2社(アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクス)の営業収益は合計899億円と約1割。

課された法人税(法人3税)はたったの11億円で、日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1、楽天の30分の1程度だった。


2009年に東京国税局が、日本で法人税を支払わないアマゾンに140億円前後の追徴課税処分を行い「日本国内での販売収益に関しては日本の法人税を払うべき」と指摘した。

しかし、タックスヘイブンの他、アメリカにも半分納税していたアマゾンは、「日本で納税すれば二重課税になる」と日本の国税当局に異議を唱えて、日米の二国間協議を申請した。

アメリカ本国の税法に従って納税しているから、意義があればアメリカ政府に言えということだ。


アマゾンの日本での販売業務は、日本子会社であるアマゾン・ジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクスがアマゾン本社から委託されている形式であり、システム的に利益のほとんどがアメリカ本社に吸い上げられるので日本での利益は残らず、日本に法人税を支払わない。


日本の国税当局が「アマゾン本社が日本から得ている収益は、本来日本で納税すべき」と課税に踏み切っても、多国籍企業の税金は関係各国で結ばれた租税条約に基づいて課税される。

租税条約は、表面上はお互いの国が平等になっていても、細かい実務の運用は両国間での協議となり、国同士の力関係に影響されてしまう。

その結果、日本がアマゾンに全面的に譲歩することになった。


アマゾンは租税回避で大幅な節税を行っており、子会社を税金の安いタックスヘイブンに置いて、グループ全体の利益をそこに集中させている。

クレジット決済の機能は、アイルランドのタブリンに置き、ヨーロッパの利益はルクセンブルグに集中させている。

そして、グループ全体の納税額の半分をアメリカで納めて、アメリカの税務当局の心象を良くしている。


そんなアメリカ本国でさえも、アマゾンは真っ当に税金を払っていないと批判されている。

EU(欧州連合)では、アマゾンがルクセンブルグで不当に税を逃れていることを断定して、ルクセンブルグ政府に追徴課税をするように指示。

イギリスでは、アマゾンなどアメリカ系多国籍企業の税金逃れを防ぐ法案が作られた。

日本でも、2018年3月に税制改正(平成30年度税制改正関連法)が国会で可決し、物流施設のみがある外国会社にも日本で課税できるように法律が改正された。

ただし日米租税条約の規定は日本国内の法律よりも優先されるので、直ぐにアマゾンに課税できないのが現実だ。