私たちの日常は、たくさんの多国籍企業の商品であふれている。
個人的に国内や海外のカフェで最も利用率が高いスターバックスコーヒー(スタバ)も多国籍企業のひとつ。
最近は、法人税をなるべく払わないように租税回避している企業(主に多国籍企業)の商品を選択しなくなったので、スタバの利用率も意識的に減った。
スタバの租税回避の話題が世界的に持ち上がったのは、2012年のこと。
1988年にスタバがイギリスに進出して以来、累計30億ポンド(約4,200億円)の売上高があったのに、法人税は860万(約12億円)ポンド(売上の0.3%)しか納税していなかったと。
このとき、スタバは赤字が続いて税金を支払えなかったと弁明したが、租税回避の結果だと思われている。
スタバの租税回避では、移転価格が利用されて、スイスの関連企業などとの取引において、仕入れにかかる移転価格を高く設定し、イギリスからスイスなどの他国に利益を移すことで、イギリスで支払うべき税金を逃れていた。
イギリスだけでなく、フランスやドイツでも、複数のスキームを用いて、過去10年ほど、法人税を納めていなかった。
・豆の取引量のうち75%を法人税率12.5%のスイスで行う。
・その豆に原価から20%上乗せして各店舗に販売する。
・知識やレシピなどの無形資産をオランダ法人に移転する。
・ライセンス料の半分はオランダの法人税率16%が適用し、もう半分はアメリカへの送金で非課税にする。
世界でスタバの租税回避に消費者からの反発が強まって、スタバの英国法人では、2013年から2年にわたり2千万ポンド(約26億円)の法人税を法の求めを超えて支払うことで英当局と合意。
2018年のフランスの黄色いベスト運動で、デモ隊に紛れたキャサール(壊し屋)が銀行とスタバを集中的に破壊していたが、スタバが多国籍企業のひとつだと庶民からみなされているからだという。