2011年にロシアのモスクワで開催されたフィギュアスケート世界選手権。
日本が開催国であったが、3月11日に東日本大震災が起きて中止となり、4月末にモスクワで代理開催された。
この世界選手権では、オープニングからフィナーレまで、日本に心暖まるエールが送られている。
6時間ある時差の中、競技時間は日本のゴールデンタイムに設定されて、CSで生中継された。
地上波の報道権をもつフジテレビでは、録画放送にも関わらず、韓国のキム・ヨナ選手の特集を組んで、肝心の心暖まる応援メッセージや黙祷は放送していない(しばらく後にBSフジで放送)。
ISUファンファーレの後、ライトアップされたリンク上に日の丸と日本列島が浮かび、着物風の衣装で和太鼓などを叩く。
リンク上に桜や海、地球、青空が浮かび、ヴィヴァルディ「四季」に合わせてスケーターたちの演技が披露。
リンク上に日の丸が浮かび、様々な民族衣装を着たスケーターたちが囲む。
「日本に捧げる詩」
地球が痛みでうめき声をあげた
自然の強さに全世界がショックをうけた
あらゆるものを水は深海に流した
しかし、何があっても太陽は東から昇る
自然の暴力は光には勝てない
私たちの神さまが
地球のあらゆる生命を守ってくれますように
桜の花が公園に咲きみだれますように
白樺の芽がたくさん芽吹きますように
鳥たちが春の唄を歌えますように
旗が勝利の祝いで挙げられますように
子どもも大人も友も互いに手をとり合い
この地球上で私たちが一つの家族に
なっていることを忘れないでほしい
(ロシアスケート連盟のメッセージ)
世界は日本の皆さんを助け
サポートするために一つとなっています
団結を表すために
震災で犠牲となられた日本の方々を
追悼するために1分間の黙祷を行います
黙祷。
その後、プーチン首相やISUのチンクワンタ会長、橋本聖子会長らが挨拶。
女子シングルで優勝した安藤美姫選手は、
どんな状況でも、これが世界選手権であることに変わりはありません。
でも日本チームにとって、自分にとって、やはり今回は特別な試合なんだと思っています。
少しでも多くの人に自分のスケートを見ていただいて、落ち込んでいる皆さんの元気が戻って来てくれればいいなと。
日本ではまだまだたくさんの人が、悲しい思い、大変な思いを抱えていらっしゃいます。
それに比べれば自分の大変さなんて、すごく小さなこと。
試合に向かう不安な気持ちはあったけれど、日本の方たちのつらさを考えたら、自分のつらさなんてちっぽけだと思ったら、すごく強い気持ちがわいてきたんです。
だから今日の自分の演技を見ていただいて、ひとりでも多くの人の笑顔が戻ったらいいなと思いながら、
日本のことを考えながら滑りました。
と語り、エキシビションでは鳴りやまない歓声と拍手の中、アンコールに白の衣装で「レクイエム」を舞う。
エキシビションのフィナーレでは、最初に安藤美姫、高橋大輔、小塚崇彦の三人の日本選手が登場し、その周りをロシア選手が取り囲み、リンク上に日の丸が浮かび上がる。
それぞれの選手たちが技を披露し、再び、安藤、高橋、小塚の日本選手を全選手が取り囲む形でフィナーレ。
モスクワ市とロシアスケート連盟が3週間という短期間で国際大会を準備して、日本をイメージした演出で心暖まるエールを送ってくれた。