犬の膿皮症とは

膿皮症は、黄色ブドウ球菌をはじめとする、皮膚や粘膜にもともと存在している常在細菌が、局所的に過剰繁殖を起こす事で、皮膚に湿疹や腫れなどの異常が生じるようになる皮膚の細菌感染症です。

膿皮症の典型的な症状である、円形状の脱毛や紅斑などの病変は、表皮小環と呼ばれ、細菌の繁殖とともに遠心性に拡大していく特徴があります。

細菌感染によって生じた皮膚の病変部からは、膿を伴う湿疹やかさぶたが生じるなど、化膿性の病巣が生じる事から、膿皮症と呼ばれています。

細菌が活発に繁殖する事によって皮膚に炎症反応が起こると、患部からは細菌とともに好中球と呼ばれる免疫細胞がいくつも確認できるようになります。

そして、皮膚の赤みや腫れが起こるようになり、強い痒みが生じるようになります。

アレルギーやアトピーなどで皮膚が乾燥したり、傷付いる場合や、加齢や病気などから免疫力が低下している場合には、このような感染症にかかりやすくなります。

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犬の膿皮症の原因

膿皮症は、犬種に関わらず、犬の皮膚病の中では最も多い病気と言われています。

その原因である黄色ブドウ球菌は、犬の皮膚や粘膜にもともと存在している常在細菌で、皮膚や毛穴に皮脂などの分泌物が溜まっていたり、体に汚れが付いたままの状態でいると、過剰に繁殖しやすくなります。

犬の皮膚はとても薄く繊細で、人間の皮膚の3分の1から5分の1程度の厚さしかありませんので、細菌が過剰繁殖した場合には、その細菌が作り出す毒素に対しても過敏になるため、痒みなどの異常が生じやすくなります。

また、アレルギーやアトピーなどの皮膚疾患がある場合や、皮膚が乾燥しやすい場合には、皮膚のバリア機能の低下によって、このような細菌感染を起こしやすい傾向にあります。

シャンプーのやりすぎや、シャンプー洗浄成分が皮膚に合っていない場合も、皮膚が乾燥しやすくなったり、炎症を起こす事があり、傷付いた皮膚に細菌が感染しやすくなる事があります。

他にも、ストレスが原因となって、何度も同じ場所を舐め続ける事で皮膚が傷付き、皮膚炎が生じやすくなる事もあります。

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犬の膿皮症の症状

膿皮症は、気温や湿度が高くなる、春から夏にかけて、最も多く見られる傾向にあります。

膿皮症になると、皮膚にニキビのような小さな湿疹や膿を含んだ膿疱が現われるようになります。

最初のうちは、皮膚の色に変化はありませんが、病変が進み、表皮や毛穴にも細菌感染が及ぶと、皮膚が赤く腫れ上がったり、毛包部が傷付いて脱毛が生じるようになります。

そして、表皮小環と呼ばれる円形状の脱毛の周囲からは、フケが多く出るようになったり、かさぶたができ、細菌の繁殖とともに遠心性に拡大して大きくなっていきます。

初期段階の症状では、痒みや不快感が起こらず、犬自身も全く気にしない場合もありますが、病状が進行するにつれて、次第に不快な痒みが生じるようになっていきます。

細菌感染が真皮や皮下組織にも及んで重症化すると、激しい痒みが生じるようになったり、患部が大きく腫れて熱を帯びたり、痛みが生じるようになる事もあります。

また、ひどく掻き毟っている場合には、出血が起きたり、浸出液が出るなどして、じゅくじゅくした状態になり、なかなか治りにくくなる事もあります。

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犬の膿皮症の治療

膿皮症の治療は、薬用シャンプーや薬浴によって患部の洗浄が行われます。

病巣が皮膚の深部にまで及んでいる場合など、薬用シャンプーや薬浴によって皮膚がますます傷付く可能性がある場合には、低刺激の消毒薬だけを使用する場合もあります。

また、治療中の患部の通気性を良くするために、病変部の被毛を短くカットしたり、刈り上げる場合もあります。

そして、病変部から出る膿や浸出液を採取して、細菌培養と感受性試験を行い、その原因菌に対する抗生物質を使用して治療が行われます。

何度も繰り返し膿皮症を発症している場合には、抗生物質の効かない耐性菌が検出される場合があり、治療が困難になったり、長引いてしまう事があります。

犬によっては、抗生物質の経口投与よりも、皮膚の外部からの殺菌消毒剤の方が効果的な場合があります。

また、アレルギーやアトピーによる皮膚疾患や、ノミやダニなどの寄生虫感染がある場合には、そのままでは治療効果が得られにくいため、その治療も同時に行われます。

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犬の膿皮症の予防

膿皮症は、皮膚の常在細菌である黄色ブドウ球菌などが過剰に繁殖する事によって起こるため、普段から犬の皮膚や被毛を清潔に保つ事が大切です。

毎日のブラッシングは、体に付いた汚れや余分な抜け毛を取り除いたり、皮膚のマッサージ効果によって血行を促進する事ができます。

また、ノミやダニが付くのを予防したり、早期に発見できるメリットもあります。

他にも犬と飼い主とのスキンシップの側面もあり、ストレスを軽減できる要素もありますので、面倒でもこまめに行ってあげる必要があります。

シャンプーは、皮膚や毛穴に溜まった皮脂や垢などの汚れを取り除く事ができますが、頻繁にやりすぎたり、シャンプーが皮膚に合っていない場合には、皮膚が乾燥しやすくなったり、痒みが起こりやすくなりますので、皮膚の状態を見ながら行ってあげる必要があります。

皮膚が弱い場合には、シャンプーの頻度を減らしたり、溶液を薄めて行う事も大切です。

散歩の際に汚れが付いて残りやすい指の間や、尿などの排泄物で汚れやすい陰部周辺は、予め被毛を短くカットしておくと、汚れが残りにくいため、毎日のお手入れも手軽に済ませる事ができます。

また、室内の花粉やホコリを吸引する事が、アレルギーやアトピーの原因になる事もありますので、室内の生活環境も、こまめに掃除をするなどして、清潔に保つ事も大切です。

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