ブログなんて興味はなかったのですが、誰にも言えない自分の人生の一部を解き放つ場所が欲しくて。誰しも人には言えない自分だけの秘密があると思います。

このブログを見ているどこの誰ともわからないあなたに、どこの誰でもない私の人生のかけらを、私の秘密を、会うことのないあなただからお話しします。


援助交際、今でいうパパ活を19歳の夏にはじめました。SNSで出会ったおじさま達とご飯に行ったり、お買い物に行ったり、ホテルに行ったり。


きっかけは元々仲の悪かった親と大きな喧嘩をして家出をしたことでした。最初のうちはアルバイトをしながら友達の家を転々として過ごしていましたが、アルバイトだけでは当時学生だった私の学費、生活費の少しの足しにしかならず、お金を稼ぎたい一心でパパ活をはじめました。


若いって怖いです。知らないことだらけで、知らなくてもいいことと知らなきゃいけないことをなんにも知らない10代の女の子。

知らない人と知らないところに行っていろんな経験をしました。今になってわかることです。なんにも知らない女の子を護る大人と消費する大人がいました。


初めてお金をもらってセックスをしたのは、誰だったか、思い出せないくらいたくさんの人と会って、気づかないうちにたくさんのお金を手に入れて大切なものを削ってすり減らしました。


出会ったたくさんの男性たちとの、思い出と表すにはあまりに小汚くて、思い出したくない出来事を記します。どんな意味があるかはわからないけれど、私と同じ経験をした、あるいはこれから同じ経験をするかもしれないあなたに知って欲しくて。


何人目かにSNSで出会った彼は医者でした。メールではまず、職業と地位と名前を私に教えました。調べると本当にネット記事に名前が載っているほどのお偉い方でした。


わたしは親にもらった名前とは違う名前と学生であることを伝えました。そしてお金に困っているということも。


会いたいと言われ、都内の某有名ホテル内にあるレストランで食事をすることになりました。片親で貧乏だった私は入ったこともない洗練されたホテルのエントランスをくぐって指定されたその店に向かいました。一歩一歩踏み出すたびに違う世界の人間になっている気がしました。


初老の彼はレストランの入口で私を待ち構えていました。周りにどう見えたかはわからないけれど、親子ほど歳の離れた2人を、レストランの従業員は真っ直ぐ見つめて笑顔で席に案内しました。


席に着き、慣れない場所と状況に緊張する私に彼は終始笑顔で話しかけました。経験したことのない場所と状況に必死に馴染もうとする私がいました。彼の問いかけに答え、気に入られようと笑顔で話しました。人見知りで小心者な私ですが、大雑把で変なところで吹っ切れるところがあり、最初の緊張が解けると、自分ではなくなったように流暢に話していたのです。


そんな私を彼は気に入ったようで、食事が終わると彼はホテルの部屋をとっているからと囁きました。わかりきっていたことなのに、ここにいる自分を恥ずかしく、卑しく思い、そしてこれはお金のためと改めて自分に言い聞かせました。そんなことを考えていたのに、卑しい私は何も知らない少女の笑顔でありがとうと答えました。


その夜は屈辱的で、消費されていく自分を心の中でどこか冷静に見つめながらお金のことばかり考えていました。


ピルを飲みなさいと、私への対価と薬代を渡して彼は満悦しているようでした。


次の日、明るくなった街を知らない人ではなくなった彼と駅まで連れ添いました。別れ際、彼はまた会おうねと。


家に帰ると数えるほどもない万札を無表情で広げる私がいました。現実から逃避したい人間は感情を脳内ですら言語化することを嫌うのだと思います。とにかく何を思ったか、あの時のわたしの記憶はありません。とにかく目の前には琥珀色の紙がただ並んでいたことを覚えています。


私があの時のわたしの隣にいたら、背中をさすって黙って横にいてあげたいと思うんです。


じわじわと心を侵食する、あの夜の出来事が自分を汚していく感覚。何も知らない少女の真っ白な心を、白をなくしたわたしは大切にしてあげたかったと思うのです。