とある掲示板で絵を投稿した時に妄想で書いたストーリを付けてみました。どうか温かい目で見てくださいませ。(掲示板ではえらく長かったので第2部から4部まで省略しましたが今回は完全版で描いております。)
第1部
これはとある少年の話である。少年は不遇の事故に遭い2年前に死亡した。しかし、頭のいかれた天才が彼の死体を研究所に持ち帰り、自分の研究に使ったのだ。その研究とはサイボーグテクノロジーいわゆる人間をサイボーグにするものだった。その実験台にされた彼は2年後に目を覚まし再び人生を歩むことができたのだが、右目、左手など体が機械になっていて無表情、喜び、悲しみなど感情を一部失っていた。そしてこれらよりももっと深刻な事態があった。それは今までの記憶をすべて失っていた。天才はこの少年の名前を「アイアス」と名付けた。
第2部
アイアスは無表情の感情が無いからかいつもしかめ面をしている。そのせいかご近所さんの印象があまりにもよくない事に気が付いた天才はニッコリ笑うという感情をプログラムという形で彼にインプットさせてみた。しかし彼の中に笑うという感情が無かったためバグって支離滅裂な事を喋り捲って機能停止した。天才はバグった彼を治すのに大変苦労したという。
第3部
天才はちょっとした事で停止するアイアスをいちいち修理したり充電したりするのが面倒になったらしく自動修理機能を彼にプログラムしてみた。そして成功したかどうか確かめるために天才は彼に向かって水を思いきりかけ、彼を機能停止させた。すると数分後、彼の機能が元に戻ったのはいいのだが、いきなり水をかけられた彼は鬼の形相で天才を追いかけまわした。天才はその後、衝撃吸収機能と防水機能をプログラムしたという。
第4部
天才はアイアスと日本の友人から借りたアニメを見ていた。するとその作品のあまりの凄さに興奮した天才は彼の腕と目を改造し、自己防衛用にレーザービームや、かめ○め波を撃てるようにしてみた。天才は彼に撃たせてみるとすごい威力なのだが止め方が分からず研究所を半壊してしまったのだ。これを止めれたのは約5時間後の事だった。
第5部
最近アイアスの様子がおかしい。天才はそう感じた。彼に訪ねてみるが彼は黙ったまま頭を抱えてうんうん唸っていた。すると彼は急に立ち上がって研究所中を徘徊していた。すると彼の口からオレはもうこの世にはいないはずとか家族の名前が思い出せないなどの言葉を発していた。どうやら記憶を一部取り戻したようだ。すると彼は急に停止した。どうやらバッテリーが切れたのだろうと思い、充電させて数時間後、天才は倒れた。
第最終部
天才は病院に運ばれたがもう時はすでに遅く、息を引き取ってしまっていた。アイアスは天才の亡骸をずっと見つめていた。だけど彼は泣くことができなかった。何故なら彼には悲しむ感情が無かったからだ。彼は天才が自分にしてくれたことを振り返ってみた。本来は自分は死んだはずの身だった。それを別の目的ではあったが天才が再び自分の命に火を灯してくれた。いきなり水かけられたり、変なプログラムをインプットされたりしたが、何かと快適に過ごした。喧嘩して怒ったのも、いきなり機械の体になってて驚いたのもこれも全てはここで安らかに眠っている天才のおかげだったのだ。それなのに自分は何もしてあげられなかった。こうなってしまったのに悲しむこともできないと悔しい気持ちでいっぱいになった。その数日後、天才は研究所の裏庭に葬られた。彼はスペアの左手首を墓の前に置いて裏庭を後にした。
彼は天才の部屋に来てみると何かのチップが置いてあり、その右側に置手紙が描いてあった。それを読んでみると・・。
アイアスへ、この手紙を読むのはきっと私がもうこの世にいない時だろう。最後に謝っておきたいことがある。私の研究の為に何の関係ないお前を持ち込み、こんな姿にして今まで変な事ばかりしてすまなかった。だが、お前と過ごした日々は今までのつまらない人生よりもずっと楽しくていうならば最高だった。お前がいなければきっと私はつまらない人生のままこの世を去っていただろう。そして私がいなくなった今、お前は自由の身だ。その左にあるチップをはめるといい。そのチップは太陽の光で充電できるいわばソーラーバッテリーだ。それがあればいちいちお前は止まったりしないだろう。それにお前はここにいるよりもっと外の世界に行った方がいいしもっといろんなことを経験しなければいけない。だからこれを作った。さあ、行きなさいお前の家はもうここじゃないんだ。そして最後に楽しい人生をありがとう。私はお前を天から見守っている。
幸せの天才 ヴィクタ=ギルバルド=ボルトスより。
アイアスは左目を抑え、はなしてみると水滴がついていた。さっきまで泣けなかったのに次から次へポロポロと流れていく。やっと彼は悲しい感情を取り戻したのだ・・。それから、チップをはめて研究所を後にした。それから彼の姿を知る者はいなかった。(完)
やっぱり長いわぁぁ・・・・;;
