日々の出来事、また社会・経済情勢について考えたことなどを気ままに書いていきます。

アスリート・ファーストで札幌へ
アスリート・ファーストで札幌へ

 

 

●突然のIOC発表
 突然の第一報がニュースで流れたのは16日だった。
 東京五輪のマラソン・競歩の開催を東京ではなく、札幌に変更する方針であるとのことだった。
 
 さらに次の日(17日)にはバッハ会長が札幌に「移すことを決めた」と一歩踏み込んだ表現で、方針を述べ、流れは札幌開催に行きつつあるようにみえる。
 



 

 
●アスリート・ファーストの精神
 開催地変更の理由は東京の暑さを避け、アスリートに対して酷暑の危険がその身体や選手生命に及ぼすことを避けたためだ。
 
 酷暑の恐ろしさは、6日までカタールのドーハで開催されていた陸上の世界選手権で明らかとなった。
 高温多湿のドーハでは、マラソンおよび競歩は夜中に実施したにもかかわらず、途中棄権者が続出した。女子マラソンでは参加68人中38人が棄権した。
 参加した選手の中からも、暑さに対する危険を察知し、東京五輪について何らかの措置を講じる必要性を訴える声があがっていた。
 
 今回のIOCの方針は、まさにドーハの悲劇をみての決定だった。
 アスリート・ファーストで考えれば、当然の決定といってよい。
 
●東京都の対応
 対する東京都。突然の発表に小池都知事はもちろん不満ありありだった。
 
 当然のことながら、東京都も暑さ対策として路面温度の上昇を抑える特殊な舗装工事を実施。都道路は開会までに13キロを整備する計画であった。国土交通省も国道5.6キロ分を14億円かけて整備中とのことである。その他、ミストシャワーの設置や木陰をつくるなど、さまざまな準備をしてきた。
 
 だから、大会関係者の「ここまで準備してきたのに……」という気持ちは十分に理解できる。費用も費やしてきただろう。
小池都知事は悔しさを抑えきれないのか、涼しい所というんだったら「いっそ北方領土でやったらどうか」と、皮肉まじりに言った。
 
●「札幌」で成功させよう!
 まだ、委員会での決議をへた正式な決定とはなっていないが、概ね、札幌開催の方向は揺るがないだろう。
 開催1年前をきっての異例の変更であること、すでにチケットを購入している人の問題、受け入れ側の準備の問題など、さまざま乗り越えなくてはならない諸課題があると思う。
 
 9月に東京五輪の選手選抜を目的に開催されたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に参加した選手の中には、札幌変更にとまどいと驚きを感じている人もいた。
 東京のコースに慣れて地の利を生かし、暑さ対策も綿密に行って手応えを感じていた選手にとっては、そうだろう。