Architecture

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日々のことなど。


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住宅は薄汚かった。周辺は、イタドリやイラクサ、フキなんかが鬱蒼としていて、同じ棟にも人が入居している感じはしなかった。
「ほんとに、ここ?」
「ええ。ここです」
町の職員は答える。
2号室の鍵を開けると、微かに生活臭がした。
「どうぞ」
住宅内は、想像していたよりも片付いていたが、妙な不安を感じた。職員から確認を求められた書類は、なんだか一人の人間の所有していたものには思えなかった。寄せ集めの、見知らぬ誰かの集合体。思いでも、ルーツも、癖も感じ取れなかった。
「僕の父親が暮らしていた部屋ではないよ」
「そうですか」
職員はあっけらかんと言う。
「とにかく、浴槽の蛇を」