マッキーが好きだ。
マッキーが書く歌を聴いて何度も涙を流した。
共感し、憧れて、思いを馳せる。
そして、過去の思い出を呼び起こす。
「THE END OF THE WORLD」
当時僕は既に大切な人がいた。
そんな時、僕は彼女と出会ってしまった。
なんてことはない、人数合わせで呼ばれたコンパだ。
そう自分に言い聞かせていたが、彼女はとても眩しかった。
もし大切な人がいなければ僕は彼女に恋していたかもな、と冷静に考えていたが、今にして思えば、この時から僕は彼女に恋をしていたのかもしれない。
彼女がゆるゆるボールでストライクを出し、友達とハイタッチしながら笑顔を見せると、それだけで僕は心が躍った。
だが、それも今日一日だけのこと、このコンパが終わればもう彼女と会うこともない。
タチの悪い魔法にかかってしまっただけだ。
今日のことは、何気ない日常のように忘れ去られるはず、だった。
しかし彼女は僕に好意を持っていた。
僕は罪悪感を心の奥に隠し、川の流れに身を任せるように、彼女とデートをした。
彼女の見せる初々しいリアクションは、まるで初めて恋愛をした中学生のようだった。
目を合わせるだけですぐに顔を赤くし、たまたま手と手が触れ合っただけで小動物のようにビクっと反応する。
彼女は、心臓の音がそのまま声になりそうなほど緊張した弱々しい声で「話したいことがある」と言った。
この状況でどんな話が待っているのか想像できないやつは馬鹿だ。
胸が苦しい。
もっと違う場所、違う時に出会いたかった。
彼女の鼓動は、まるで空気感染するウィルスのように僕に伝染し、血圧を上昇させる。
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「付き合ってください」
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永遠とも思える時間の後、僕は彼女の震える肩を抱きしめて「ごめん」と言った。
大切な人がいることも全部説明した。
これでいいんだ。
きっとこの気持ちは幻、今は感情的になっているだけだ。
そう自分に言い聞かせた。
だが彼女は、「迷惑をかけないと約束するから好きでいてもいい?」と言った。
返す言葉が見つからなかった。
ギリギリ決壊寸前で耐えていた僕の良心は音を立てて崩れ落ち、刹那の感情に流されていった。
「次の彼氏が出来るまでやで」
僕はそれから何度も彼女に会った。
そして、彼女が屈託のない笑顔で僕に好きと言う度、僕は言葉に詰まり彼女を抱きしめる。
喉がキューッと絞めつけられ、彼女を愛おしく思う感情と言葉では形容し難い切なさとがゴチャ混ぜになって、こぼれそうになる涙を堪える。
周りから見れば普通のカップル。
だがそれは救いのない恋。
終わることが約束されていた。
ある日突然一通のメールが来た。
「前へ進むために終りにします。ありがとう。幸せになってね。」
マッキーのこの歌を聞くと、思い出す。
昔の話。
