これから育休を取ろうと思っている君へ
まず、仕事を長期間休み、子どもと妻と過ごせる日々はとてつもなく幸せな日々です。あなたが働いて得るべきであった給与の何割か(少なくない代償)と引き換えにこの上ない特権を得ることになります。おめでとうございます。
初めは何もかも新鮮です。
子どものことも、妻が見ている世界を知れることも。
児童館も
オムツも
夜泣きも
デパートのベビールームも
スーパーの子供用カートも
抱っこ紐も
ベビーカーも
時に、思いがけず褒められることもあるでしょう。
イクメンですね。
パパがこんなに育児をしてくれて奥様は幸せですね。
今日はパパと一緒でいいねぇ
でも、そんな新鮮な日々も終わりを告げます。
いや、子ども成長は常に新鮮です。
でも、「子育て」や「子育てしている俺」は次第に新鮮ではなくなります。
日常になっていきます。
児童館も
オムツも
夜泣きも
デパートのベビールームも
スーパーの子供用カートも
抱っこ紐も
ベビーカーも
あなたの日常の一部になります。
初めは、少し頬が緩んでしまったあの褒め言葉たちの違和感にもそろそろ気がつきはじめます。
あれ?
なんで、俺が褒められてるんだろう。
褒める人間違えてますよ。
そうです。
あなたは知ってしまいました。
いや、本当には知っていませんが、
めちゃくちゃ命懸けで子供を産み育てているあの人の苦労を知ってしまったのです。
やばい。
役に立っているんじゃなくて、役に立ってる感じに持ち上げてくれてるだけだわ。
あれ?今家族が俺にめっちゃ気遣ってるな。俺が不機嫌だからだ。
妻や子供が俺に「お父さん」をさせてくれてる。
ダメだ。何にもやれてない。
むしろ、いない方がマシなのでは?
子供にとっての母親という存在の大きさに、家族における妻の存在の大きさに気づけば気づくほど、あなたのハリボテの自信、いい父親だよな、俺って、という馬鹿みたいな幻想が消し飛んでいきます。
あれ、このくらいで怒ってばっかりいる俺って一体何者?
あれ?俺ってこんなに何も出来ないんだっけ?
え、もっと褒めてほしい。もっと認めて欲しい。一応こんなんでも一生懸命やってるのに。
でも、妻には敵わない。敵うわけがない。
子供を妻のように愛することは出来ない。
妻のように効率よく物事を進めることが出来ない。
子供にどうしても怒ってしまう。
やばい。自分はクズな父親なのでは?
そんなふうに思ってしまうかもしれません。
でも、それでもいいです。
本当は知っているはずです。
妻や子供があなたの頑張りを見てくれていること。
あなたが責務を果たそうしていること
あなたが良い父親であろうとしていること
こんなダメな自分に気づかなかった方が良かったのではない。
こんなにダメな自分を知ることが、
こんなに大変な子育ての日々にまみれることが、
こんなに愛おしい子供との日々が
こんなにとてつもないことをやっている妻への畏敬が
それが、子育てであり、家庭生活であり、人生であるということに気づけたあなたは、絶対にそれまでのあなたとは違うから。
イクメンと言われて喜んでいたあなたは
自分は仕事ができると思っていたあなたは
自分は優しい夫であり、父親であると思っていたあなたは
ただ、何も知らずにそのポジションを与えられていただけ。
でも、今のあなたは違う。
苦しんでいても、
もがいていても、
自信をなくしても、
本当の優しさとは何か
本当の子育てとは何か
本当の人生の幸せとは何か
本当の自分はなんなのか
子供が幸せになるにはどうしたらいいのか
子共の幸せとは何なのか
翻って、自分の幸せとはなんなのか
自分の人生とはなんなのか
向き合っている。
圧倒的に向き合っている。
だから、いいんだよ。
向き合うことは強さだよ。
あまりの不甲斐なさに
あまりの妻との差に
あまりのダメさに
打ちひしがれてもいい。
でもね、これだけは覚えていてほしい。
あなたは望まれてそこにいるよ。
あなたはかけがえのない家族の一員。
あなたは文字通り家族を支えてる。
今までみたいにお金を稼いではないけど。
今までみたいに自信満々じゃないけど。
今までみたいに、迷いがない訳じゃないけど。
でも、それが成長だよ。
ほら、やっと人生のスタートラインに立てたね。
自分の人生をこれからは生きよう。
あなたが挑戦することが、本当の子育てだよ。
あなたが、自分を本当に大切に思うこと、本当に大切に扱うことが、子供を大切に思い、大切に扱うということなんだよ。
あなたが、胸を張って、強く生きることが、本当の子育てなんだよ。
あなたは一度自信を失ったかもしれない。
でも、その失った自信は偽物の自信だよ。
これから手にする自信は本物の自信だよ。
あなたが本当にあなたを信じられる、その日は近いよ。
だから、それまでは苦しみながらでもいい、時には怒っても、イライラしてもいい。打ちのめされるかもしれないけど、それでも、育児にまみれよう。子供に育ててもらおう。仕方ない。それがあなたなのだから。
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