「うっわ!くさ!!!」
彼女は激昂した。
何故なのか。何故つい数秒前まで楽しげに2人でテレビを見て
バラエティのくだりを「今のは台本あったよね」と、ちょっと斜めの角度でテレビを楽しんでいた雰囲気が、今では出川の天然さも、上島が無理をしてる様も、静かに電子音として流れて行く。
何故なのか。たしかに僕は放屁した。
ただ、尻の片方をあげ、筋肉を緩め、比較的、穏やかに、そう。屁をした。
更にだ。事件現場はコタツの中。限られたその空間に臭気は満たされるだろう。
ただ、僅かな隙間から人体に影響の無い程度で穏やかに排出され、コタツ内は浄化された空気になるというのに。
なのに何故君は、そんなに険しい顔をしている。
何故君はコップのビールを捨てて新しいものを注ぎ直す。
なんだって?微量なる排泄物が分子として排出され?空気上に舞い?近くにある水分に付着し融解する恐れがあるだあ?
なにそれ、俺もこのビールやだ、つぎ直して。あ、ありがとう。
話を戻そう。
そしてよかったら、機嫌も戻そう。
まず第一に、先程の粗相については、君がコタツの布団をふわりと上げない限りは君に被害を及ぼすことは無かった。
例えばだけれども、僕がハナクソをほじった手で君に触れたとしよう。ただ、僕がそれを自供しない限りは君はその事実を知ることがな
ちょっと待ってよ。いや、今は付いてないから。違う、自供しないと付いていないとかじゃなくて本当に、ホントに!!
わかった、手を洗おう。そしてその手が鼻の穴に入らず、またここに着席するまでの一部始終を監視するがいい!だから触らないでとか言わないでよね!
ジャー、バシャバシャ
ちょっと!見ててよ!ほら、今爪の中まで洗ってるから!
じゃあ話を進めよう。
次にだけれど、何故君はコタツの中が臭かった時にいきなり僕を責めたんだ。
え?いや、したよ?うん。おならした。へへ
いや、違う!まだ怒らないで!
僕が言いたいのはこのコタツの中に体をいれてるのは確かに君と僕だけだ。
確かに主観的に見た場合、犯人は僕になるだろう。だって君は自分でして無いという自覚があるだろうから。
ただ、話を「本当にすべての放屁を、私達人間は自覚することが出来ているのか?」ってところまで掘り下げていくと、僕が犯人だと確定するのは現状で難しいよね。
いや、だから何度もいうけど僕はしたよ。まあ比較的、穏やかに、そう、屁をしたよ。
だからさ、それは認めるけどコタツの中が臭かった時にいきなり僕を責めたのは違うのではないかとね。
これから先、何かが臭かったらすぐに僕が疑われかねない。
納豆が臭いの僕のせいじゃないし、僕の靴下が臭いのは仕方ないし、たまに比較的臭く無い屁も出るし。
ごめん、自分で言いながらちょっと無理があると思った。
ああ、寒かった?ちょっと温度上げるね。
ん?ちょっと待って。ちょっと待ってね。
今君は、コタツ内の温度を少し寒く感じている。これは今の発言から考えて間違っていないと考えていいよね。
あ、はーいこれ。はいはいはいはき。
これワタシ気が付いちゃったかもしれませんよ。これ。はいはい。
君の行動に矛盾が生じている。
コタツの中の空気を布団を上げてまで入れ替えたい時は僕が知る限り3つだ。
コタツの中が暑い時。
コタツの中の湿度が高い時。
そしてもう一つは自分がおならをする時、コタツの中に臭気を蔓延させたく無い時だ。
そう君はコタツの中が寒いと感じている。そして君の足に今触れてみたが特段汗をかいている様子も無い。それもそうだ君は少し寒いんだからな!
そうなると君がとった行動は限られる。
君も、おならが、したかった!そうだろう!
そして僕は暑がりだ、コタツの布団を温度調整のためめくることはよくある。
その時に流れ出た空気が臭く、僕がおならをした自覚がなければ犯人は君しかい無い。
そのために君はコタツの中に臭気を蔓延させ無いよう、布団を上げおならを
あ、ごめん。涙目にならないでよ。
ごめんよ、違う。君のおならなら嗅ぎたい位だよ。
うん。付き合う前君が回してくれたレジュメの、触れた一番上と一番下のやつをどっちも自分のものにして一枚保管用にするような男だよ。大気中のすべての空気が君のおならだったらいいのにと思ってるよ。
うん、ごめん、今ちょっと嘘ついた。
あ、年明けた。
今年も宜しくお願いします。
ねえねえ、あのさ。
おならしてごめんね。
