Bad girl-アラサー女子達の日常-

Bad girl-アラサー女子達の日常-

わたしの親友たちは
女性管理職になるくらいのお仕事中毒エロリータ。
元神戸系代表の銀行員マドンナ。
結局外国人と不倫しちゃう処女の高嶺の花。
セックス中毒の異常な自己愛ダンサー。
大好きな彼女たちを書いたノンフィクション。

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しばらく自分の仕事と恋愛が忙しくて
結城くんとひなのには会えなかった。

ひなのが入社して1年弱。
アルバイトも含めると
100人の社員を抱える企業になって、
結城くんは業界紙にも載る位になってた。

久しぶりに結城くんに会うと、
全てが変わっていた。
着ているスーツにネクタイ。
話し方に振る舞い。
仕事への熱意。
もちろん経験不足な彼の発言は
まだまだ未熟で笑っちゃいそうだけど、
外堀は完璧な若手企業家。

まだ男女の関係はなかったけど、
ひなのが彼をそう創り上げたのは
彼の選ぶ言葉が、
ひなのイズムそのままだったから。

もともと、
ひなのは男を育成するのが好きだから。
結婚してた男は、
付き合った当初は
一部では有名な大学生DJで、
かなりの遊び人だった。

それを自分好みの尽くす優男に育てた。
遊び人の彼より派手に遊んで、
とことん追わせて尽くさせて、
顔も良くて自分好みに仕上げた男を
あっさりと捨てた。

理由は、
一流企業に就職しないから。
その言葉でそいつはDJはやめて
一流は無理だったけどそこそこの企業に
就職して、プロポーズをした。



親の会社でゆるゆると何も考えずに
ノルマのない営業をしてきた結城くんと、
社会に椅子を求めて、出世を目指して
さらに私生活でも修羅場をくぐり抜けてきた
ひなのとは経験値の差があり過ぎたし、
仕事に対しても彼女の方が
経営者向きだった。


そんなひなのに彼が一目置くのは
当たり前だったし、
何よりお坊っちゃまは
メンタルが弱い。

とりあえず外側から、
経営者とはこういうものと叩きこんで、
ひなのが彼を大企業のCEOと同じ様な
扱いをしたから、
外部からも彼は立派な経営者として
扱われた。

中身はともかくとしてね。


資金計画から
事業計画、
組織づくり、
人を育てること、
日々の細かい事務作業、
ネクタイ選びに至るまで、
とにかくいつでも話を聞いて、支えて、
彼がどういう会社を創りたいかを
考えさせるに至るまで、日々こつこつ続けた。


彼女は異常に必要とされることに
執着している。

それは出来の良い兄がいて、
親に必要とされたことがなかったからと
言ってたけど。

結城くんはひなのをいつも必要としていた。
側に居るのが当たり前、
優しくしてくれるのが当たり前。
自分に家庭があることを配慮してくれるのが
当たり前。

お坊っちゃまは、
天然のわがままだから、
そこだけが唯一のひなのの誤算だったはず。

結城くんにとって、
ひなのは自分にだけ尽くしてくれる存在。
それなりにモテて言い寄る男がいても、
絶対に自分を優先してくれる。


ひなのなら、
自分の全てを受け入れてくれる。
今までのどの男も勘違いした様に、
結城くんも例外じゃなかった。

ひなのは男の全てなんて受け入れない。
自分の全てを受け入れてくれないと
わかった瞬間に、簡単に男を捨てる。
自分の為に死んでくれた男の為にしか死ねない、
究極のナルシストなのに。

しばらくの間は、
結城くんは擬似恋愛を楽しんでいた。
天然ビッチだとは知らず、
テキパキと仕事をこなすキャリアウーマンが、
恋愛には奥手な女だと思い込んで、
気のある素振りを振りまいて、
さり気ないスキンシップで照れるひなのを
見るだけで、満足していた。

男の部下に叱咤する姿を見て、
自分には優しくていつも微笑んでくれる、と
経営者としてあるまじき優越感にも浸っていた。


そうなったらそこからは
ひなのの独壇場。

気のある台詞は言わせる様に仕向け
さり気ないスキンシップをする様に
誘導するなんて、
カップラーメンを作るより簡単なこと。

他の男とは違うという自尊心を煽り、
俺のことが好きなんだと勘違いをさせる。

この時、ひなのは彼に恋なんてしていない。
彼女の恋のスタートは、
相手が自分に溺れて尽くした瞬間からだから。

まだ
自分の創った作品。
自分を見くびらせることで、
ほんとの自分のじゃない
ピュアなひなのを気持ちよく演じ続けさせて
くれる、毎日のスパイス。

小心者の愛妻家が、
誰かに恋をするということを
自覚することは絶対になかった。

擬似恋愛を楽しんでいるだけ。
触ることのない彼女の胸やおしりを
オフィスで触ることを想像するだけで
愛妻との馴染んだセックスに
少しの刺激と多くの罪悪感をもたらした。

それでもたしが待ち望んでいた、
くるべき日はやって来た。

1年が経った頃。
ひなのと結城くんの信頼関係は
完璧に出来上がっていた。

結城くんの感覚も緩みはじめて、
愛妻より長い時間を過ごしているひなのに、
触れても問題ない様な錯覚に
落ち入りはじめた頃。

愛妻が、友人の結婚式で
ハワイへ行くことになった。

今までなら彼も同行していたけど、
新しいプロジェクトが始まる時期で
会社を離れることができなかった。

愛妻不在の初日。
わたし達は3人で夕食をたべた。
その日の結城くんは、わたしの話なんて
うわの空。
ひなのを見る目が熱っぽくて、
この1週間で絶対にヤる気だな、と確信した。

ひなのがそれを感じないはずもなく、
逆にいつもよりあっさりとした態度で、
男のそういうフェロモンに気づかない無垢な女を
演じきっていた。

待ち焦がれた展開に期待して、
その日は男の元へ行くふりをして
2時間足らずで2人と別れた。

お酒を飲まない結城くんが、
車でひなのを送って行った。

とは言っても、
少ない恋しかしてこなかった彼。

その日、ひなのを送ったものの、
あまりの無邪気さにどう手を出して良いか
わからない。

少し車を停めてみた。
車内で2人っきりになって
ひなのに見つめられてキスしなかった男なんて
過去にはいない。

ひなのの首に触れようと手を伸ばしたら、
彼の大きな手は彼女の耳に触れた。

エロリータは、それだけで
あっ、と声が漏れるほどに感じた。

感じやすいのは演技じゃない。
でも、結城くんの周りに、
そんなに素直に反応を示す女はいなかった。

その反応を、
感じたのではなくて突然で驚かせたと
勘違いした彼は
その日はその先へ進めず、
車内で手をつないで少しのお喋りをして
帰される。

ほんとは、繋いだ手を口元へ持ってきて
見つめながらゆっくりと彼の指を
一噛みしたら、始まったけど。

もどかしさがひなのの欲求を煽ったけど、
年下のかわいこちゃんにする様に
上に乗って誘惑するわけにはいかない。

女王様を唯一自由にできる男。
あくまでも強引に誘わせないと
この1年をかけて創り上げた台本が
台無しになってしまうから。