ツイてない日とか厄日と言われる日がある。
大小関係なく「運の悪いコト」が何個も連続で起きた時に使われる表現だ。



謎の若い男の存在が、幸田にとって果たして「運が良かった」のか「運が悪かった」のか…。
幸田はそんな事を考えながら、ラーメン屋へと向かっていた。




とある商店街のアーケードに差し掛かった時だった。

「四天王?!」

道上は火を点けようとくわえていたタバコを取り、思わず叫んだ。

「…あぁ。何回か見た事ある。元鈴蘭の“ゼットン”こと『花澤三郎』って人だ」
腕組みの姿勢で歩きながら上条が答えた。

「おいおい、マジかよ…。俺の顔覚えられてんじゃねぇかぁ…?人違いってオチはねぇのか?!」

慌てたのは藤原だ。一番長い時間ゼットンと接したのは藤原だったのだから無理も無い。

シリアスな顔で上条が続けた。

「お前らあの蹴り見ただろ…スタバの看板ちぎったのを。 あれはまだ手加減した方だと思うぞ。っていうか背中にデッカク自分の名前書いてあるような服着て歩くような男、あの人以外に見た事無いしな。」


幸田(…ゼットンって書いてあったのか。)

「でも何で何回も見た事あるんだ?」

「…だな、接点ないだろ」

幸田の疑問に上条以外が同調した。

「俺ん家の向いのDVDレンタルがあるだろ? 毎週来るんだよ。大体“絶屯”って書いてある服着てるし、タマに“鈴蘭”って書いてあるジャージ着てる事もある」


上条以外「……。」



「あっ、休みじゃねぇかー。」
幸田が両手を腰に当てて、残念そうに言った。

アーケードを歩いてきた幸田達の目の前には目的地「中華そば 青龍」という小さな看板のラーメン屋があるが、入り口に張り紙がしてあった。ここは幸田たちのお気に入りの店で、何かある毎に食べにきていた。

『社員研修のため臨時休業いたします。』


「社員研修って、おっさんとおばさんだけだったろ…」

幸田がつぶやいた。






「あれ? あんなとこラーメン屋あったか?」

多田が指差している方向、アーケードの出口そばに『らーめん』という文字がライトに照らされている店が見える。照らされた看板はどうやら新しいらしく、光が反射して肝心の店名はよく見えない。

「最近出来たんじゃねぇのか? どうする?」

幸田の問いに特に異議することなく、その店に向かった。






「ここ…大丈夫か…?!」

上条が思わず言うのも当然だった。
店の前に着いた彼らが目にしたのは、異様な看板だった…。


“モヒカンらーめん”


「なんちゅうネーミングセンスだ? 店員がモヒカンだったりして!」

藤原の言葉に一同笑いながら、店の戸を開けた…。


「らっしゃ~い!」


威勢のいい店員の声が聞こえた。



一同「……!」