ヘイトフル・エイト | B級パラダイス

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今週末は帰省予定。郡山では結局上映されなかったこの映画も今週金曜には上映が終わってしまうってんで、福島まで車で1時間、行ってきましたよ!
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ヘイトフル・エイト (2015) THE HATEFUL EIGHT

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ 製作:リチャード・N・グラッドスタイン、ステイシー・シェア、シャノン・マッキントッシュ 製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン、ジョージア・カカンデス 撮影:ロバート・リチャードソンプロダクションデザイン:種田陽平 衣装デザイン:コートニー・ホフマン 編集:フレッド・ラスキン音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、ジェームズ・パークス、デイナ・グーリエ、ゾーイ・ベル、リー・ホースリー、ジーン・ジョーンズ、キース・ジェファーソン、クレイグ・スターク、チャニング・テイタム

いやー、3時間近い長尺なのに長さを感じなかったなあ。タランティーノ印の「会話」と突発的とも言えるヴァイオレントなシーンに加え、密室ミステリーまであって堪能堪能!

南北戦争後のワイオミング。先日観た「殺しが静かにやって来る」を彷彿とさせる、冒頭の駅馬車が走る超遠景から始まるところでもう嬉しくなってしまう。バックには祝!アカデミー賞のモリコーネのオリジナル曲!マカロニウエスタンの諸作というより「狼の挽歌」をちょいと思い出すダークなメロディが不穏かつカッコ良くてもう身悶え。念願のモリコーネにオリジナル曲を書いてもらえて、タランティーノ嬉しかったろうなあ(笑)。

レッドロックの町を目指す駅馬車には賞金稼ぎ=首吊り人ジョン・ルースと彼に捕えられた賞金首の極悪女デイジー・ドメルグがいる。そこに元北軍騎兵隊の黒人賞金稼ぎマーキス・ウォーレンが賞金首3人の死体と共に乗り込み、さらにレッドロックの自称新任保安官だというクリス・マニックスを拾う。
雪の中走る駅馬車のシーンにこれまたモリコーネの「エクシシスト2」の「リーガンのテーマ」が不意打ち的に流れてきてまたも身悶え(笑)。この曲大好きなんだよなあ。

猛吹雪が近づき避難した「ミニーの紳士服飾店」にはミニーの姿はなく、ミニーから店番を頼まれたというメキシコ人のボブの他、絞首刑執行人のオズワルド・モブレー、カウボーイのジョー・ゲージ、そして南軍の元将軍サンディ・スミザーズという3人の先客が。

さて、ここに集まりし8人のそれぞれ過去と因縁、何より「嘘」と「憎しみ」に満ち満ちた面々が、互いの腹をそして「正体」を探り合うのもスリリング。雪に閉ざされた空間といい、ほんと「遊星からの物体X」+「レザボア・ドッグス」でしたな(笑)。

相変わらずただものじゃない佇まいのマイケル・マドセン(ママとクリスマス過ごすって(笑))のあの声も、前作「ジャンゴ 繋がれざる者」で久々観たブルース・ダーンの怪しい爺ィっぷりも良かったが、同じく「ジャンゴ~」で印象的だったウォルトン・ゴギンズが「軽薄な小物」のまま、最後まで頑張っていて拍手!ただティム・ロスがクリストフ・ヴァルツに見えてしょうがなかったよ(笑)
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密室ミステリーと書いたけど探偵役など誰もいないし、殺し殺される殺伐とした話なれど、ミニーの店の扉が壊れて閉まらない理由、床に落ちていた一粒の赤いジェリービーンの意味など、きちんと伏線も回収され、首吊り人ジョン・ルースの「拘り」と「リンカーンからの手紙」が最期まで活きるのもいい構成。
話がくどくて長いと思う人もいるようだが、俺は好きだなあ(俺がそうだからか?(笑)。やっぱり構成が上手いと思うし、リズムが俺好みなのだ。なんかもう「B級」のイメージじゃないどっしりした画作り、語り口なんだけど、やりすぎなヴァイオレントなシーンで「巨匠」になるのを拒否してるかのようで嬉しくなってしまうのだ。

本物のウルトラパナビジョン70mmは体験できずとも、あれだけ横長ワイドな画面はやはり映画館で体験して正解。って今気づいたが俺、タラの監督作をいくつもDVDで持っているが、劇場で観たのは初めてだった!今まですまぬ(笑)。

一つだけ文句言いたいのは御者のO.Bが「8人」に入っていないこと。何度も数え直してしまったではないか(笑)。まあ「ヘイトフル」じゃないからだろうが、この題名自体がミスリードになっているのはミソでしたな(笑)。

という訳で間に合って良かった1本。昨日の桜散策と合わせて大満足の休日であった。
しかし郡山もアニメや邦画だけじゃなく、もう少し幅広く上映してほしいものだなあ。この分では「レヴェナント」の上映も不安になってきたぞ~い。