最近の報道バラエティーを見ていて、とても違和感を覚えるのは「犯人」と見られる人物の
顔写真にモザイクをかけて「怪しい女」を連呼しつつ、その素性を明かすことなく、別件では
あるが逮捕されている人物の疑惑を「面白おかしく」報道してしまうスタンスに、「訴訟」恐怖
と「無責任体質」を見てしまうが、それらの報じる痕跡をみると「取り込まれてやがて毒牙」
にかかった被害者の男達と、それが複数となれば「あり地獄」にはまった・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
鳥取不審死、遺体発見前日から車放置
11月8日18時23分配信 TBS
先月7日、鳥取市の摩尼川で発見された円山秀樹さんの遺体からは、睡眠導入剤の
成分が見つかったほか、体には暴行を受けた跡がありました。
円山さんは詐欺容疑で逮捕されている元スナックホステスの女に家電などを販売して
いて、遺体の見つかる前日の午前7時、「集金に出かける」と言って自宅を出ました。
しかし、その2時間後、遺体が発見された現場近く道路に円山さんの車が停まってい
るのを近所の人が目撃。その時、助手席側のドアはロックされていなかったということ
です。
「(円山さんの車は)8時45分にはなかったが、9時にはあった」(現場近くで車を見た人)
鳥取県警では、円山さんが自宅を出てすぐ事件に巻き込まれた可能性があるとみて、
慎重に捜査を進めています。(08日17:34)
最終更新:11月9日11時58分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn/20091108/20091108-00000025-jnn-soci.html
婚カツ詐欺女、疑惑前からネットで話題
埼玉県警に詐欺容疑などで逮捕された無職女(34)の知人男性が相次ぎ不審死した事件
で、この女は事件発覚のかなり前から、インターネット上の「有名人」だったことが3日、分
かった。約1年前以降、ネット掲示板にはこの女に関するスレッド(板)が複数出現。女が書
いていたブログの不自然な内容にツッコミを入れるような書き込みが相次いでいた。赤飯に
関する日記が目立ったことから「赤飯婆」「小豆婆」などの隠語で呼ばれるほどの“話題性”
だった。
女に関するスレッドは昨年12月、大型掲示板に立った。女が書いていた食べ物ネタブロ
グのアドレスや使用していたIDが多数転載されていたことなどから、女についてのスレッド
と分かる。ブログに書いていた内容や、同一IDの人によるネットオークションでの活動歴な
どについて、不自然な点についてのツッコミや批判が相次いで書き込まれていた。
そのスレッドでは、女やそのブログのことが「自称ピアノ講師34歳」「妄想日記」などと揶揄
(やゆ)されていた。ネットオークションで仕入れた商品や食品を、「手作り」と称して人に送
ったり、ブログに「誕生日にもらった」と書いたりしているという趣旨の“疑惑”も推理として書
かれていた。女のブログIDと同一のIDを持つ人物が、ネットオークションでさまざまな商品
を入手し、同一商品をその後、ブログに掲載していたことなどが疑惑の根拠のようだ。
また、今年6月に立ったスレッドでは「赤飯婆」「小豆婆」などの隠語で呼ばれるようになった。
ブログに、赤飯についての記述が目立ったためとみられる。そこでも、女がブログに書いた
日々の豪華な食生活、グルメを気取ったセレブ的生活、ブランド品ネタなどについて、不快
感や信用性に対する疑問を呈する書き込みが相次いだ。
6月の時点で「痛すぎで面白い。裕福でモテまくって料理上手で注目される自分が理想
で、こんなことしてんだろうな。空想だけでも経験したいんだろうね」と書かれたり、7月に
は「日記の内容全部事実だとしたら、何でこんなに金持ってるんだろうってことになるよな。
謎が多い」とも指摘された。
また「金持ちに見られたい欲が異常に強いだけな気がする虚栄心の塊っぽい」「謎なところ
は、金の出どころかも。金はどこから出てるんだろう?」などと、すでに一連の疑惑を予測
するかのような指摘も複数されていた。すでに事件前から女の「正体」への疑惑が、一部ネ
ット上で話題になっていた格好だ。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20091104-562635.html
http://www.youtube.com/watch?v=nySF-uM2XUg
「砂の女」 六十余年公開作
この映画は安部公房」の原作の映画化作品だが、その昔どこぞの名画座で
見た記憶があるが、その時は女の「あり地獄」に陥った男の足掻きと、その暮
らしに慣れてくるにつれ、別世界であったものが違和感なく受け入れられ、や
がて現実世界からの逃避で自我を満足させる・・・。
と、「あきらめに似た心境変化」に、大変衝撃を受けた。
モノクロの映像もなにやら妖しい世界観を、それもとても日本的な情緒として
その上、音楽がこういった映画には珍しく、その映像をさらに印象付けてくれた。
砂の織り成す、風の影響のさまざまに変わる文様は「人の心の変遷」のようで
その上、部屋の中で唐傘をさすシーンなど、その一つ一つが語りかけてくる。
無常と変わり行く世界の中で、かたくわに自我を守り抜く「精神性」を表している
と読み取れ、日本映画の記す情念とは、こういったもので表す事が出来るのか
と感心したのを覚えている。
砂のすり鉢の下に住む女と、そこに労働力として送り込まれる男には、
やはり「あり地獄」の感慨は否めないが、この寡黙で朴訥なのだが艶かしい
女の姿が、とても強い意思を持つ存在となって、この場合は「悪女」ではない
のだが、いつしかその魅力にもはまっていく男の心情も理解できてしまう。
仕事といえば「砂掻き」のみの単調で退屈な労働が、苦痛でないはずもなく
何度かは脱出を試みる男の焦燥感の後の、些細な出来事に喜びを見出す
しぐさと微笑には、満ち足りた生活の中に埋もれていく「ちいさな感動」を想起
させてくれる。
この映画自体は、いろいろな思いを想起させ、見終わった後は虚脱感が
広がるものだが、映像と音楽、そして役者の表情とか社会主義の中の最底辺
とはこういったもの、そしてその世界からつまはじきになる境遇の恐ろしさとか
人間の醜悪で汚い部分を代弁させたり、とても感銘を受けたものである。
その映画とは違った、昨今の疑惑に上る女達に対しての犠牲になった男達の
境遇は、少しに通っているのではとおもったものだから・・・。
薄れてしまったり、忘れてしまった些細な感動やら感激を想起されてしまうと、
心中では「だまされている」と理解していても、その女を拒否できぬ弱さが自分
の中にあり、いつの間にか「抜け出せぬあり地獄」という構図・・・。
この映画でも、すり鉢の下の二人を他の人々は嘲り笑い・・・。
その中で自分なりの意義を認めれば、そこに小さな「生きる力」も芽生えて
事件は「砂の女」の日本の女性らしさは微塵もないが、取り込まれていく道程
では、自分では理解出来る「感銘も感動」もあったのでは・・・。
と、犠牲になった人には、生きていた意義を尊重したいものである。
ただ「だまされた」のみでは、相当に不憫で・・・。
実際、他人事では「毒女」と、犠牲者の関係性しか思い浮かばぬが・・・。
- 砂の女 (新潮文庫)/安部 公房
- ¥500
- Amazon.co.jp といったところで、またのお越しを・・・。